スタバが「過半数休業」コロナ対策に見えた本質 「来店客と従業員の安心」社会的責任の重さ

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「遊興施設」にはネットカフェや漫画喫茶が含まれたが、一般の喫茶店(カフェ)は入っていない。「『喫茶店』は、『自宅などで過ごす国民が必要最低限の生活を送るために不可欠なサービス』」とした。「外出自粛」との整合性が難しく、国内の大手カフェチェーン4社(スターバックス、ドトールコーヒーショップ、コメダ珈琲店、タリーズコーヒー)の対応は、本稿執筆時点で「休業」と「営業時間短縮」とに分かれている。

東京都内の「タリーズコーヒー」店内(2020年4月7日。筆者撮影)

スタバは対策を講じつつ、営業を継続してきた

日本のスターバックスは、ギリギリまで「店舗の営業継続」を実施してきた。時計の針を少し巻き戻して紹介しよう。

1カ月以上前の3月2日。同社はコロナ対策の方針を初めて掲げる。題名は「新型コロナウイルス感染拡大と予防に関する店舗オペレーション変更のお知らせ」だ。同日時点で、国内全店舗にて実施を決定している内容を明記し、理解を呼びかけた。

具体的には「お客様が持参したタンブラー、店側が提供するマグカップやステンレスフォークやナイフの使用を一時休止」、(代わりに)「紙カップやプラスチックフォークでの提供」「店舗パートナーのマスク着用や手洗い回数の頻度増」「テーブル、ドアノブなど接触の多い箇所について、頻度の高い消毒と衛生管理の徹底」などだ。

当時、筆者のオンラインによる取材に対して、同社は「安心安全を前提に、このような状況だからこそ、1杯のコーヒーを通じて、ほっとしたひとときをお客様にお届けすることも、重要な役割だと考えています。刻々と状況が変わる中で、日々、政府や自治体からの方針を注視し、現時点でお客様およびパートナーにとって感染拡大防止や予防になると思われる対策を進めます」と回答した。

その後、愛知県や大阪府、埼玉県の店舗で働く従業員が、コロナウイルスに感染した際にはいち早く発表。感染が確認された従業員は保健所の指定病院に入院し、店舗のほかの従業員、濃厚接触者とみなされる従業員は自宅待機。該当する店は一時休業。消毒等を実施し、安全性が確保できた後に営業を再開してきた。

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