コロナに潰されない人が突き詰める4つの論点 「緊急時でも成長する人」はどこが違うのか?

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こうした変化を受けて働く人は、モチベーションについて認識を新たにしています。

「在宅勤務をして、職場の仲間と一緒に働く楽しさを再認識することができた」「ベアは凍結、ボーナスは半減しそうだが、そんなに気にならない。生活さえできればお金は大切ではないことを知った」「仕事量が減ってムズムズしている。やっぱり仕事が好きなんだと実感した」

物事が順調なとき、私たちはさほどモチベーションを気にしません。今回、モチベーションの諸条件が大きく変わっていることを受け、改めてモチベーションについて見つめ直したいものです。

<第3の論点>
□自分が働くモチベーションは「環境」「仕事」「評価」「報酬」のどこにあるのか
□現在の会社・職場・働き方は自分のモチベーションを高められる状態か
□今後モチベーションを高めるためにどうすればよいのか

最後に第4の論点は、組織との距離感、従属関係です。

今回の危機を受けて、体力のない中小企業・零細企業が倒産したり、生き残りを懸けてリストラに取り組んだりするケースが出ています。一方、大企業は、業績悪化に見舞われているものの存続していますし、雇用も守られています。そしてリストラで、正社員は対象外で、非正規雇用が真っ先に狙い撃ちされています。

就活を控えた学生だけでなく、企業勤務者からも「やっぱり何だかんだで大企業だよね」「非正規で働くって絶対ありえない」といった声が聞かれます。より大きな組織の中で組織に守られて生きていきたいということで、組織との距離感が縮まり、従属傾向が強まっているわけです。

世界のトレンドと逆行する日本

しかし、これは世界のトレンドに逆行しています。アメリカでは1970年代、経済の70%を「フォーチュン500」の企業、つまりアメリカのトップ500社が占めていましたが、近年この割合は10%を切るまで減少しています。

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また、組織に属さないフリーランサーは5670万人と労働者の35%に達しています。大企業、正社員の地位はどんどん低下し、中小・零細企業、そこで働く労働者やフリーランサーが社会の主役になっているのです。

「寄らば大樹」という言葉のとおり、日本人は所属欲求・依存心が強いと言われます。一方、近年、兼業・副業の解禁など組織に従属しない生き方がもてはやされました。

今回の「揺り戻し」は一時的な現象でしょうか、トレンドが再転換したのでしょうか。こうした世の中の変化を踏まえつつ、私たちは組織との距離感や従属関係を考え直したいものです。

<第4の論点>
□組織に従属して働くべきか、従属せずに働くべきか
□従属して働く場合、仕事の価値やモチベーションをどこに求めるか
□従属せずに働く場合、どのような仕事で働くか、生活は成り立つのか

「明けない夜はない」。いつの日か人類は新型コロナウイルスの脅威に打ち勝つでしょう。ただ、元の生活を取り戻すだけでなく、この時期に仕事・働き方・生き方を見つめ直すことによって、将来「コロナ騒動があったときに人生を見つめ直したから、自分は大きく飛躍することができた」と笑顔で言えるようにしたいものです。
 

日沖 健 経営コンサルタント

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ひおき たけし / Takeshi Hioki

日沖コンサルティング事務所代表。1965年、愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。日本石油(現・ENEOS)で社長室、財務部、シンガポール現地法人、IR室などに勤務し、2002年より現職。著書に『変革するマネジメント』(千倉書房)、『歴史でわかる!リーダーの器』(産業能率大学出版部)など多数。
Facebook:https://www.facebook.com/takeshi.hioki.10
公式サイト:https://www.hioki-takeshi.com/
 

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