アメリカの履歴書に「年齢欄がない」納得の理由 なぜ「中年は若者に劣る」と断言できないのか

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この質問の場合、ほとんどの人が18歳以降に経験する仕事が質問内容のため、いちばん割りを食っているのは18歳になるのは当然でしょう。ですが基本的に、年齢バイアスは歳を取れば取るほど、その影響が大きくなっていくようなのです。

ほんの一例ですが、就職支援会社の方に、30歳以上になると成功率は大きく下がると聞いたことがあります。また、40歳以上の転職や再就職も非常に難しく、実際に現在進行形で苦労している知人が何人もいます。

もちろん、同じ能力であれば、体力もあるし、活躍できる期間も長い若者が支持されるのはよくわかります。でも、当たり前ですが経験が違うので、30代や40代には、10代、20代にはない能力があります。

アメリカでは年配者でも働ける理由

しかし、年齢バイアスによって、それが評価されにくくなっているのです。実際にアメリカでは、1967年に「雇用における年齢制限禁止法(The Age Discrimination in Employment Act)」が制定されています。

年齢バイアスによる問題があるからこそ、このような法整備がおこなわれているわけで、その点、アメリカは日本に比べて進んでいると言えます。

それ自体が違法なので、アメリカの履歴書には年齢や性別を書く欄がなく、そのおかげか、アメリカではいたるところで、かなり年配の方が働いているのも見かけます。

日本でも、原則として年齢差別は禁止されています。ですが、一定の理由さえあれば年齢制限を設けてもいいことになっていますし、実際には年齢による採用拒否がないとは言えません。

社会にある問題は、個人の中にもあるものです。自分が年齢を重ねることを「イヤだな」と思っている方は少なくないでしょう。言語学的にも「若者」「青年」に比べて「おじさん」「おばさん」「中年」ということばには、よくないニュアンスが含まれ、ことば自体にマイナスイメージがあります。

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