「休業要請」に動いた都知事の焦りと危機感 都民に対して徹底した外出の自粛を要請

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当初、国と都で見解が一致しなかったのは、休止要請の「期間」と「範囲」だった。国は経済的な被害を最小限に食い止めようと、緊急事態宣言後の2週間は事業者への休止要請は行わず、都民の外出自粛のみで様子を見ることを求めていたとされる。また、知事権限で休止要請ができる業態の中でも、理髪店や百貨店などを除外することを求めていた。

「感染爆発の重大局面にある東京にとって、2週間状況を見て、というのはあまりにも酷だった」(小池都知事)。3日間の調整の末、結果的に理髪店などは休止要請の対象から外れたものの、措置自体は4月11日土曜日からすぐに実施されることになった。

感染者は3日連続で最多を更新

東京都の強烈な危機感はもっともだといえる。新規感染者数の急増を受けて緊急会見を開き、都民に外出自粛を要請したのが3月25日。2週間が経過した4月8日からは自粛要請の効果は現れてもおかしくないはずだったが、依然として感染拡大のペースは衰えていない。4月10日の新たな感染者数は189人に上り、3日連続で最多を更新した。

4月10日の会見。「感染爆発の重大局面であることをしっかり認識してほしい」と改めて強調した(記者撮影)

不要不急の外出の自粛要請では効果が見えない中で、東京都が特に重視したのは次の手を打つスピード感だった。今回の休止要請は、まずは主だった業態を対象にしたもので、詳細は未定だ。「休止要請にも(インフラ事業者など)国の継続要請の対象にも含まれていない業態がそれぞれどうなるのかは、来週以降(4月13日以降)に公表していく」(総務局の担当者)としている。

緊急事態措置に当たって、東京都は「協力金」の創設も表明した。休止要請に従えば、事業所が1カ所であれば50万円、2カ所以上であれば100万円を受け取れるというものだ。これについても、協力金全体の予算規模もまだ明らかではなく、「支給の方法や休業したことの証明方法などは今後詰めていくことになる」(総務局)。

休止要請は”見切り発車”の側面もあるが、週末を前にとにかく人との接触を抑制するための措置を急いだ格好だろう。感染者数が膨れ上がる中、都知事にとって3日間の国との調整は、長すぎる時間だったのかもしれない。

石阪 友貴 東洋経済 記者

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いしざか ともき / Tomoki Ishizaka

早稲田大学政治経済学部卒。2017年に東洋経済新報社入社。食品・飲料業界を担当しジャパニーズウイスキー、加熱式たばこなどを取材。2019年から製薬業界をカバーし「コロナ医療」「製薬大リストラ」「医療テックベンチャー」などの特集を担当。現在は半導体業界を取材中。バイクとボートレース 、深夜ラジオが好き。

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