世界的に新型コロナウイルス感染が広がる中、アップルとグーグルが共同で感染者リンク追跡を容易にするスマートフォンアプリの基本技術を開発することで合意したと4月10日に発表した。両社の技術に基づくアプリは、5月にも第一弾がリリースされる。
スマートフォンを用いた感染リンクを追跡するツールは中国、シンガポール、韓国で使われている例もある。しかし、位置情報までを把握する追跡ツールであるため、国が国民の行動を監視することとなる。プライバシー保護が十分ではなく、なし崩し的に監視・管理社会へとつながるなどの批判もあった。
両社が開発する機能は匿名化を徹底するなど、プライバシー保護を強く意識したものになる。
この段階で提供される感染対策機能は、基本部分の技術仕様を両社が提供し、各国の感染対策当局(日本では厚生労働省)が提供するアプリの中に組み込んだ形でリリースされる。発表は米国で行われたものだが、すでに日本の当局へも展開されているという。
また両者は近く、スマートフォン用基本ソフト(iOSおよびAndroid)に、プライバシーを保護しながら感染リンクを追えるようにする機能を実装し、スマートフォンの基本機能として組み込んでいく計画だ。
近くにいた相手を暗号化して「自動記録」
提供されるアプリを使うと、10〜15分以上といった時間、同じ場所にいた相手が持つ端末の情報を暗号化して記録する。最大14日間、接触した相手の情報を記録し続ける。そのうえで、利用者が新型肺炎に罹患した際に感染をアプリで報告すると、記録された相手の端末に新型コロナウイルス感染者との接触があったことが通知される。
濃厚接触者を本人の記憶に頼らず追いかけることができるため、感染者がピークアウトしたのちも続くであろう感染リンク追跡が容易になることが期待される。ただし、当然ながら、どれだけ多くの人が感染対策アプリをインストールするかが効果を高めるカギとなる。そのためには、両社の提供する技術がプライバシーの面で「安全である」という理解を得る必要があるだろう。
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