アメリカ・ニューヨーク市全域で猛威を振るう新型コロナウイルスで、男性は女性よりも大きな犠牲を強いられている。男性は感染者数が女性を上回るだけでなく、死亡率も女性の2倍近くになることが新たなデータから明らかになった。
ニューヨーク市の保健衛生局が発表した数字によると、これまでに新型コロナで死亡した男性は10万人当たり43人だったのに対し、女性は同23人だった。男性のほうが重症化して入院する確率も高い。
救急救命室に運ばれる患者の8割が男性
憂慮すべきデータだが、まったく想定外というわけでもない。似たような傾向は中国やイタリアでも確認されているからだ。どちらの国でも、男性感染者の死亡率は女性を上回っていた。
行動パターンや生物学的な違いが関係しているのではないかといわれている。例えば、男性の喫煙率は世界の大半の地域で女性よりも高い。
女性の免疫力の高さを理由に挙げる科学者もいる。女性は男性よりも自己免疫疾患にかかりやすいが、免疫力が高いため男性よりもウイルスにうまく対抗できているのではないか、という見方だ。
ニューヨーク市内のさまざまな病院に勤務している医師によれば、新型コロナ患者には明白な男女差があり、その差に気づかない医師はいないという。
「私は救急救命室にいるが、すごい違いがある。運び込まれて来ている患者の8割方が男性だ」。ブルックリンにあるマウント・サイナイ・ヘルス・システムの形成外科医で、新型コロナ患者の治療にあたっているハニ・スビタニー医師はこう述べた。「5人中4人が男性ということだ」。