さらに新型コロナ感染について、中国で行われた最大規模の調査によれば、女性患者の死亡率が1.7%だったのに対して、男性は2.8%だった。
ジョージタウン大学「健康・老化・疾病の性差研究センター」で所長を務めるキャスリン・サンドバーグ氏は、死亡率に差があることは予想していたが、新型コロナはほかの感染症よりも男女差が激しいようにみえる、と言う。高血圧における性差を研究する同所長によると、「ウイルスの作用に関係があるかもしれない」とのことだ。
「ただ、ヒトの場合は一般に、病原体は何でもあっても違いはない。女性は免疫システムが強いので、女性の方がうまくウイルスに対抗できているのだろう」
男女に差が生じる理由は?
高血圧や心臓病を抱えている患者は新型コロナで重症化するリスクが高い。が、女性のほうが男性よりも長生きで、こうした疾患も男性より高い年齢になってから現れるケースが多い。X染色体(女性が2つ持っているのに対し、男性は1つ)、および女性ホルモンのエストロゲンが女性の強い免疫力につながっていると考えられている。
新型コロナに見られる男女差は、アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)との関係で説明できるかもしれない、とサンドバーグ所長は語る。ACE2は肺その他の器官の細胞の表面に発現するタンパク質で、血圧を調整するシステムの主要要素の1つだ。同所長によると、ACE2の調節のされ方は男女で異なり、コロナウイルスはACE2に結合するという。
一方、多数の病院を運営するノースウェル・ヘルスで救命救急を担当するマンガラ・ナラシンハン医師は、ニューヨーク州クイーンズとロングアイランドの病院も含め、ノースウェル・ヘルスが運営する病院のすべてで新型コロナの患者には男女差が見られると言う。
ナラシンハン医師は明確な数字はわからないとしながらも、同病院網の新型コロナ患者の65%が男性ではないかと見積もる。「重篤化した患者が人工呼吸器につながれるわけで、そうした患者が増えれば、死者も増える」。男女差が出ていることについては「理由はわからない。現時点では誰にもわからないと思う」と語った。
(執筆:Roni Caryn Rabin記者)
(C) 2020 The New York Times News Services
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