《中国・アジア市場攻略》現地企業と組むダイキン、核心技術を渡しエアコン世界一を狙う
成長戦略の最大の障壁 ダイキンの深謀遠慮
この見方に対し、大金空調(上海)有限公司(ダイキン現地法人)の光安俊二副総経理は「中国のインバーター製品比率を高めることで、価値のシフトを進めたい」と話す。ダイキンは「世界一」という旗印に向けて、「インバーター製品の全世界への普及」を重要戦略として位置づける。インバーター製品は日本では普及率100%に達するが、全世界では20%程度。中国市場に至っては10%以下で、インバーターという言葉すらも知らない消費者が少なくない。
そのため、省エネ性能をアップさせるインバーターの認知度を高め、ひいては市場におけるインバーター製品比率を上げていかなければ、価格競争力や販売力で中国メーカーに劣るダイキンの長期的な成長は描けない。逆に、技術の名前が消費者に浸透することで性能勝負の土俵に持ち込めば、技術力や品ぞろえに勝るダイキンの支持率も高まるだろう。
仮に短期勝負で格力との販売競争に敗れても、「価値のシフト」が進むことで、消費者の購買力が上がった際の中長期的な決戦では果実を得る。つまり、格力の販売力を使いインバーターの認知度を高める--。提携にはそうした側面もあるようだ。
高級感あふれる販売店 工場は品質管理を徹底
ダイキンが短期勝負にこだわっていないことは、現地の販売店に足を運ぶと明らかだ。