いすゞと日野、柱の「ASEAN」で感染拡大の打撃 現地工場が相次ぎ停止、国内生産に影響も

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今後の展開として懸念されるのは、こうした世界各地の混乱により、日本国内の工場までもが長期操業休止に追い込まれる事態だ。なにしろ、日系メーカーの商用車はあくまで国内での生産がメインで、それを半完成品の部品・コンポーネントの形で世界各地のKD工場に輸出するパターンが多い。

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直近の年間実績で見ると、いすゞは商用車を日本で約24万台生産し、6割超に相当する15.5万台を東南アジアやアメリカ、中国などの諸外国にKD方式や完成車の形で輸出。日野も国内生産(15.6万台)のうち8.4万台が海外向けで、輸出比率が6割を超す。

一般の乗用車とは違い、顧客ごとに細かな仕様が異なる商用トラックは発注を受けてから生産するので、手持ちの受注残がある限りは、すぐに仕事がなくなることはない。また、物流業務に必須なだけに、乗用車並みに需要が激減するとは考えづらい。しかし、世界各地で新規の受注が細れば、いずれ国内工場も生産調整が必要になる。

部品調達に支障が生じるケースも

サプライチェーンの問題も顕在化し始めている。三菱ふそうは、新型コロナの影響で欧州や東南アジアなどからの部品調達に支障が生じ、4月10日から川崎工場で商用トラックの完成車生産ラインを休止した。いわゆる“サプライチェーンの寸断”による停止で、4月いっぱいは同ラインの稼動を取りやめる。

トヨタ自動車を始めとする日本の自動車産業は今、新型コロナの感染拡大で世界各地の工場が休止に追い込まれ、販売面でも需要の激減に見舞われている。いすゞ、日野、三菱ふそうも決して例外ではなく、日系商用車メーカーの経営にも大きな打撃が及びそうだ。

渡辺 清治 東洋経済 記者
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