粗悪な「体温計」がコロナ禍で蔓延し始めた事情 非接触型に注意!「海外発送品問題」が再燃

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直接触れることなく体温を計測できる「非接触型体温計」がコロナ禍で需要が急増し、品切れが続出している(写真:Taechit Taechamanodom/iStock)

コロナ禍におけるマスクの粗悪品、価格吊り上げなどが一時、問題となったが、昨今はマスク以外にも同様の動きが広がっている。中でも急速に問題化し始めているのが非接触型体温計だ。

直接触れることなく体温を計測できる非接触型体温計は、病院などでも診察に活用されているが、コロナ禍で需要が急増し品切れが続出。これに目をつけた輸入業者、あるいは海外拠点のEC出品者が、中国の生産拠点で流通する非接触型体温計を調達、販売し始めている。

しかし、これらの商品には「発熱しているのに平熱と表示される」「計測ごとの誤差が大きい」といった品質問題が指摘される商品が混入している疑いが強いだけではない。「非接触型体温計」は「医療機器」にあたるため、法令に基づく手続きを経なければ販売することができないが、法令を守っているかどうか疑わしいケースも散見される。

また海外拠点の出品者、あるいは日本の住所を登録しながらも実際には海外発送といった出品者が、規制クリアをうたいつつも、実際には商品の販売認可を受けていないといったことが他ジャンルでは頻発していたこともある(電気用品安全法の基準PSEをクリアしていない商品をPSEマーク付きで販売するなど)。

コロナ禍でワイヤレスイヤホンやモバイルバッテリーなどから、急速にコロナ対策関連商品へと消費者の目が変わる中、過去に粗悪な玩具、バッテリー、ワイヤレスイヤホンなどを販売した業者が、販売品目を急速に変えていることが背景にある。

需要急増で違法状態の医療機器販売が増加

アマゾン、楽天、ヤフーショッピングといった大手ECサイトは昨今、商品の多様性を高め、流通量を増やしていくため、クロスボーダー取引を加速させる動きを見せてきた。以前にも、アマゾンに登録する海外セラーの問題をコラムの中で指摘したが(「Amazonやらせレビュー」中国企業の呆れた手口、2020年2月4日付)、かつてデジタルガジェットを扱っていた業者が、非接触型体温計を急に扱い始めるようになった。

これらの業者すべてが粗悪な製品を販売しているかは確認できない。

しかしながら、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」違反が明らかな出品が見受けられる。

次ページAmazon.co.jpは疑わしい出品を削除したようだが…
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