コロナ禍でも働く「低所得者層」の葛藤と恐怖

移民が支える社会であらわになった階級格差

ニューヨーク州の保健衛生局職員は最近、不法移民もコロナウイルスの検査費用および感染した場合の治療費用をカバーする緊急メディケイド保険が利用できるようになると発表した。

国も、受診してもいわゆる「パブリックチャージルール」の対象にはならないとしている。パブリックチャージルールとは、グリーンカード申請者が公的扶助を利用した場合に罰則が課されるというものだ。

移民は市の欠かせない労働力になっている

しかし、移民擁護派の市民団体はそれでは不十分だと言う。彼らは不法移民が連邦政府の2兆ドルの経済刺激策から排除されたことを非難している。夫婦の片方が合法移民で、もう片方が不法移民の場合ですら、対象とならないのだ。

市民団体は、移民はその法的地位にかかわらず、アメリカを成り立たせる上で、必要不可欠な労働力を担っていると主張する。例えば、農作業、食料品店の商品の補充、食事の宅配、高齢者や障がい者の介護、そして、住宅やビルの清掃といった仕事だ。

「移民はこのような対応の最前線に置かれ続けている」と、在ニューヨークのニューヨーク移民連合のエグゼクティブディレクター、スティーブン・チョイは語る。

コロナウイルス危機が勃発して以来、ルズの仕事量は実際のところ増えている。子どもの学校でウイルスが発見されたため隔離生活に入っている、雇用主一家のために食事を作らなければならず、その上、宿題を終えても外に出られず落ち着かない8歳と12歳の子どもたちの相手をしなければならないのだと言う。

ルズは子どもたちをマンションの外の廊下に連れて行き、キャッチボールをする。親が家で静かに仕事に集中できるようにするためだ。「今は親も大変」と、彼女は雇用主について言う。

掃除の量もさらに増えた。さまざまな表面の拭き掃除や手洗い、また彼女が手を拭くのに使うタオルが一家の洗濯物に混じり込まないよう気を使う。彼女の1日10時間労働は体力を消耗する。週700ドルの給料は変わらない。

ニューヨーク市の移民問題事務局の最近のリポートによると、同市には約50万人の不法移民がいる。調査によると、その4分の3以上が昨年は働いていたが、その年収の中央値は2万6000ドルを超える程度と、同市の労働層の中でも最も低かった。

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