コロナ禍でも働く「低所得者層」の葛藤と恐怖

移民が支える社会であらわになった階級格差

連邦政府の支援措置に含まれる1200ドルの現金支給および子ども1人当たり500ドルを受け取るためには、労働者はソーシャルセキュリティ番号を使って連邦所得税の申告を行った実績が必要だ。不法滞在の労働者はソーシャルセキュリティ番号を持つ資格がなく、代わりに個別の納税者認識番号を使って申告する。

しかし、多くが指摘するのが、それでも彼らは税金の申告を行っているという点だ。マンハッタンに住むエクアドル出身の掃除夫セルシオは、「働きに来たけれど、税金も払いに来た」と話す。

移民を頼りにする高齢者や病人も

45歳のセルシオは、かつては週に50軒の家を掃除していたが、今は10軒減っており、来月の家賃が払えるか不安になっていると言う。彼の仕事の必需品すら買えるかどうかすら実は怪しい。「ライゾール」のような清掃用洗剤が多くの店頭から消え、時に法外の値段で売られているのだ。

家事労働者たちは自身の経済的ニーズのためのみならず、彼女たちを頼りにしている高齢者や病気の人、障がい者など多くのニューヨーカーたちのためにも働き続けなければならないと言う。

75歳のベッシー・ドジスは、メキシコ出身のロサというヘルパーに週7日クイーンズ・アストリアの自宅を訪問してもらい、彼女とパーキンソン病を抱える75歳の夫ピーター・ドジスの入浴と着替えの介助、そして通院の世話をしてもらっている。「自宅にとどまる必要があるか、ロサには聞いた。彼女次第だから」とベッシー・ドジスは言う。

52歳のロサは、仕事を続けることにした。「私が家に着くと、ピーターはうれしそうだ。リクライナーから起き上がるのを手伝ってもらえるのを知っているから」。彼女はピーター・ドジスの世話をした後、夫婦と食事を分かち合う。

仕事に出かけるとき、彼女の子どもたちは「Cuídate, Mami」と声をかける―気を付けてね、ママ、と。

不法移民であることは、病気になることに不安を抱いている労働者たちにさらなる不安をもたらしている。

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