責任をギリギリのところで回避しながら、自己保身に走る姿ばかりが見え隠れする。なぜ、日本の官僚や政治家は、こんなにも「責任回避」に走るのか……。新型コロナウイルスに対する日本政府の対応を検証しながら、その構造的な問題点を考えてみたい。
ドタバタから垣間見える日本の構造的欠陥
今回の新型コロナウイルスに対する安倍政権の対応は、行き当たりばったりで庶民感覚から離れているように見える。唐突に小中高の学校を2週間臨時休校にしたかと思えば、来月の家賃も払えないといった具合に国民生活が危機に陥っているにもかかわらず、「お肉券」や「お魚券」の構想が出てくる。
4月7日に発表された「緊急事態宣言」の自粛要請ひとつにしても、安倍首相は「欧米式のロックダウンはできないし、しない」と明言している。しかし、その根拠は説明しない。ロックダウンしなくても、感染爆発にならないというなら、その根拠を専門家会議などにエビデンスを用意させて、きちんと説明しなければ国民にはわからない。
国民の生活を救済する目的の給付金にしても、もはや財政赤字や財政破綻をどうこう言っている次元の問題ではないのだから、たとえば国民1人1人に直接30万円を一律で渡すような政策が求められているのに、小難しい制度論や法律論が先行してしまう。約5000万世帯にガーゼマスクを2枚ずつ配布するという政策にも、異論や批判の声が上がっている。
これまで何があったのか、そしてその意思決定が正しかったのか……。簡単に列記してみたい。
翌24日から春節休暇が始まるタイミングで発表された「武漢・都市封鎖」だったが、日本政府はそのまま春雪の観光客を日本に受け入れた。
検疫という名のもとに2週間にわたって、乗客をクルーズ船に閉じ込めたまま隔離。約4000人の乗員乗客のうち約700人が感染。神戸大学の岩田健太郎教授に、感染症対策の基本ができていない、と指摘をされて政治家や感染症の専門家が揃って岩田教授を批判した。
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