スーパーの「買いだめ行列」に並ばずに買う技術 いつもどおりの消費行動では苦戦する

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リモートワークができず家に帰るころにはスーパーの棚が空っぽと嘆く人は、まず都心部にあるデパ地下や高級スーパーに立ち寄ってはいかがだろう。休業要請を受けデパートは営業を取りやめているが、食品売り場だけは営業する店舗もある。

また、とにかく保存できる食品を一通り買っておきたいというなら、コンビニの冷凍食品もある。パニック買いでスーパーの棚がガラガラだった夜もコンビニは空いており、冷凍パスタや麺類は平常どおり残っていた。さすがは庶民のインフラ、物流も滞りなく、棚の商品は日々淡々と補充されているのだから。

「連想ゲーム」の練習をしてみよう

「皆が買いに行く店以外に、売っているところはないか」という発想の切り替えは、ほかの物にも当てはまる。例えば、マスク。街から消えた最初の頃の話になってしまうが、筆者はかろうじて一定数を買うことができた。ドラッグストア以外の店で。

その頃ワイドショーではドラッグストアに開店前から行列する人の映像を繰り返し流しており、近所の店3軒を回ってみたが確かにない。そこで、向かったのは100円ショップだ。100円ショップは季節先取りの品ぞろえのため、花粉症対策用に箱入りマスクをかなり早い時期から販売していたからだ。今ならまだ買えるかも、とのぞいてみたら、かろうじて女性用マスクは在庫があったし、殺菌ジェルも入手できた。

ほかにもマスクが買えたところがある。業務用に紙皿や弁当用のパッケージを扱う専門店だ。食絡みの紙製品を扱うところなら、ひょっとして……と足を運んだところビンゴだった。価格も通常どおりで個数制限もなかった(今では100円ショップも業務用専門店も品切れになっている)。

「生活用品は何でも扱っている100円ショップ」「飲食用品を扱っている業務用専門店」ならマスクがあるかも、というのは連想ゲームのようなもの。

この先も、品薄になりそうなものはいくつかある。今のうちに、どこで買えるかの選択肢を考えておいたほうがいいだろう。

スーパーやドラッグストアの棚には何でもそろっていて、欲しいときにいつでも買える。そんな常識が見事に砕かれたのが今の日本だ。いつもの買い物行動にこだわらず、頭とお金を柔軟に使うことが不可欠となるだろう。

松崎 のり子 消費経済ジャーナリスト

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まつざき のりこ / Noriko Matsuzaki

20年以上にわたり『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『マネープラス』などのマネー記事を取材・編集。家電は買ったことがなく(すべて誕生日にプレゼントしてもらう)、食卓はつねに白いものメイン(モヤシ、ちくわなど)。「貯めるのが好きなわけではない、使うのが嫌いなだけ」というモットーも手伝い、5年間で1000万円の貯蓄をラクラク達成。「節約愛好家 激★やす子」のペンネームで節約アイデアも研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。
【消費経済リサーチルーム】

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