坂上忍さん「大変なときに自分をいたわる技術」

何度も失敗しながら学んできたこと

――私は学校でいじめを受けて、不登校になりました。坂上さんにとって、学校はどんなところでしたか?(17歳、女性)

僕も、学校へ行きたくないと思うことがいっぱいありました。校内暴力が一番ひどいときだったんです。子役をやっていたので学校へ行くと格好の標的でした。

学校に着いたら、机に「お前を殺す」って彫刻刀で掘られているんです。だけどその机も、ある日、なくなっていて、人に聞いたら「三階の窓から投げ捨てられた」と。

15人くらいの不良グループから、袋叩きにあいそうになったこともあります。これって昔の『金八先生』の話じゃなくて、実際にあった話ですからね。

SOSは命がけ

苦しんでいる子に「SOSを出してほしい」なんて言う人がいますけど、それは簡単にできないですよ。子どもには子どもの世界があるから、助けを求めるなんて屈辱です。命がけですよ。

ただ、僕はこの年になってから「逃げなきゃいけないときもある」と思うようになりました。少なくとも、自分1人で全部抱え込まなくていい。

大変なことがあったときに「一生懸命にやる」って、誰にでもできることです。難しいのはうまく「力を抜く」こと。

野球で言うと、ストレートを投げる人は度胸があるようなイメージがありますよね。でも実際にやると、変化球などの緩い球を投げるほうが怖いんです。

なぜかっていったら、ボールが遅いから打たれる可能性が高くなる。でも一生懸命にストレートばっかり投げていると、自分も追いつめられていくし、チームメイトも圧迫感を受けてしまう。

この話はたしか、元野球選手の東尾修さんが言ってたのかな。「直球よりも、チェンジアップを投げるほうがはるかに怖い」って。

力を抜く技術って、自分をうまくいたわる技術でもあると思うんです。どうやって力を抜くかは、今の僕の課題でもあります。

スタッフもみんな一生懸命やっているのに、自分が「今よりももっと頑張ろう」と考える必要はないと思うようになりました。「力を抜く」のも大事だからです。

けど、それは僕も全然できていないからね。だから、これは相談の答えじゃなくて、自分に言い聞かせている言葉です(笑)。

――ありがとうございました。

(聞き手・子ども若者編集部、編集・酒井伸哉、写真・矢部朱希子)

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