また、新たにスラックを導入した企業・団体の中で1週間で2日以上利用した社数を示す社内指標は、3月10日時点の前週比でイタリアは120%、日本は34%、韓国は33%増加したという。そこから半月以上経過しているため、世界各地で一層増加しているとみられる。
スラックのスチュアート・バターフィールドCEOは3月26日、この間社内のリモートワーク移行をどう進めたか、スラックのユーザーが急激に増える中でどう対応したかといった事細かな経緯をツイッターに投稿した。
「2020年度の第3・第4四半期は有料課金企業数が5000社ずつ増えた。ただ今進行中の2021年度第1四半期はすでに9000社増えた」
「ユーザーはより多くの時間をスラック上で過ごすようになった。1日当たりのメッセージ送信数はこの間に20%増えた」
Slackはユーザー数増が収益に直結
ユーザーや導入企業の増加が意味するものは、マイクロソフトとスラックで大きく異なる。チームズはマイクロソフトの業務ソフト群「Office 365(オフィス365)」に含まれており、オフィス365の導入企業ではいつでもチームズを使える状態だった。チームズのユーザー数が増えても、すでにオフィス365としてのライセンス収入が入っているため、収益面での貢献は小さい。
一方のスラックはチャットツールが主事業であり収入源。無料プランもあるが、利用人数が増えたり、大企業がコンプライアンス要件を満たそうとすると、有料プランとなる。人数が増えれば増えるほど利用料金も上がるため、有料課金ユーザー数の増加がそのまま収入増につながるのだ。
ユーザー数の急激な増加は、こうした開発会社にとって手放しで喜べるものでもない。昨今のチャットやビデオ会議のサービスは一様にクラウド型だ。アクセスが増えれば、ネットワークやデータセンターの増強が必要になる。ビデオ会議の増加によって世界的に通信量が増えており、アメリカのネットフリックスやグーグル傘下のYouTube(ユーチューブ)といった動画配信サービスは初期設定の配信画質を落とす措置をとっている。
特にマイクロソフトは2019年11月にチームズのアクセス障害が発生したばかりだ。これについて日本マイクロソフトの山崎氏は、「コロナウイルスに関する報道が出始めた頃から、アメリカ本社のエンジニアリングチームが各国に状況を確認し、どの程度の増強が必要か検討した。日本でもビデオ会議が増えているため、ネットワークや(データセンターの)ハードウェアの処理能力の増強を進めてきた」と話す。
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