決算発表から見た日本経済、低迷続く日本と欧米、存在感を増す中国とインド

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 国内セメント市場占有率40%弱の太平洋セメント。同社は09年度のセメントの内需を当初想定より500万トン少ない4270万トンに落とし、業績予想も下方修正した。

「セメントの内需は奈落の底へ向かっている」と、徳植桂治社長は語る。4270万トンという内需はピークの1990年度の半分。「09年度の日本の1人当たりのセメント消費量は350キログラム。経済が成熟しているフランスやドイツよりはるかに少ない異常な低水準」(徳植社長)。

太平洋セメントは米国西海岸でセメント事業を展開している。06年度決算では米国の営業利益が252億円に達し、全体の営業利益の3分の1を占めていた。それが、リーマンショック後の重要の急速な落ち込みで米国事業が大幅な営業赤字になる。このため太平洋セメントは10年度に生産能力の30%削減を骨子とするリストラに踏み切る。

グローバルに事業を展開する企業からは米国、欧州の立ち直りが鈍い一方で、中国を筆頭にアジアが想定より好調という声が聞こえる。

「中国需要に救われた」--エレベーター専業で国内4位のフジテックの内山高一社長は語る。同社は09年度の業績予想を上方修正したが、その原動力はアジア市場の拡大だ。

巨大な中国市場

何しろ国内のエレベーター新設台数が年間2万5000台程度に落ち込む一方、中国のそれは約8倍の年間20万台に伸びている。同社は10年1月に上海調達センター(工場)を稼働させる。すでにある北京の2工場と合わせ、「中国を世界のエレベーターの供給拠点にして、原価削減を図る」(内山社長)という。

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