決算発表から見た日本経済、低迷続く日本と欧米、存在感を増す中国とインド

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小



 09年1~3月期を大底にして、自動車、電機など製造業の減産は緩和された。米国、欧州で政府が金融市場に介入して信用不安をとりあえず封じ込めたうえ、中国を含めて大規模な財政出動を行ったためである。特に中国の大規模な財政出動や「汽車下郷」「家電下郷」政策の効果を指摘する企業は多い。その結果、4~6月期、7~9月期と四半期ごとに生産は急回復しているが、その水準はリーマンショック前に比べるとまだ60~80%の稼働率という。まさに「8割経済」である。

ただ、一部の部品・素材はリーマンショック前の水準を超えている。その一つが液晶パネル用ガラス基板である。旭硝子は世界的に建築用、自動車用ガラスの需要低迷が続き、製造用の窯を止めたり人員削減を行っているが、「液晶用ガラス基板は7~9月期から過去最高水準になっている」(旭硝子経理担当役員)。

二番底を警戒する経営者

一時はガラス基板の供給不足により、液晶パネルの生産に支障が出たという。液晶パネルの生産では韓国・台湾メーカー4社で世界の80%弱を占めている。日本の部品・素材メーカーも韓国、台湾企業の動向を注視す。特にダイナミックに生産数量を動かす台湾メーカーをベンチマークにしている。その台湾のある大手液晶パネルメーカーが、10~12月期は前四半期より生産を15%減らすという内示を日本の部品メーカーに伝えたという。

こうした兆候に加えて、最近の円高や民主党政権の経済対策への不安から、景気の「二番底」懸念が急速に企業経営者に広まっている。「日本経済が現在の8割経済から脱却するのは困難だろう。上期の決算は想定以上だった。足元の景況も悪くない。だが、年明け後に二番底の懸念がある」(櫻井邦彦ADEKA社長)。ADEKAが09年度の増額修正を見送った理由の一つが、「台湾企業に変調の兆し」だった。

公共投資や民間設備投資、住宅投資に連動するセメント需要は、耐久消費財に比べると遅効性がある。これから大底を迎える。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事