また、イギリスのサイバーセキュリティ企業レッド・ゴート・サイバーセキュリティのリサ・フォーテとポーン・ディフェンドのダニエル・カードは、イギリスとヨーロッパの医療機関を支援すべく、「サイバー・ボランティアズ19」を2019年3月に立ち上げた。アメリカのテクノロジー誌ワイアードによると、ビジネス特化型ソーシャルメディアのリンクトインを通じてボランティアを申し出た人の数は、3月22日時点で3000人近くに上っている。
イスラエルのサイバーセキュリティ研究者であるオハド・ザイデンバーグも、新型コロナウイルス絡みのサイバー攻撃に関する情報を集めるボランティアグループを立ち上げた。
イスラエルのほか、ヨーロッパ、北米の有名企業のサイバーセキュリティ専門家が現在70名ほど参加しており、ザイデンバーグはこの動きを世界中に広げていくつもりだ。
今後の注意点
通常の医療に加えて、急増する新型コロナウイルス感染者の治療に当たっている医療機関は、非常に厳しい状況に置かれている。ボランティアを含め、サイバーセキュリティ業界の支援拡大が必要だ。
新型コロナウイルス危機を世界が乗り越えた後、今回ボランティアとして立ち上がった人々や組織が改めて賞賛されるとともに、対価を含め貢献にどう報いるか、医療業界のサイバーセキュリティをどう改善するか議論されるべきであろう。そうしなければ、長期的なサイバーセキュリティ強化につながらない。
また、インターネットを介した遠隔医療が改めて注目されている。例えば、3月25日に米上院が可決した2兆ドル(220兆円)の新型コロナ経済対策法案には、遠隔医療のための予算も含まれていた。サイバー攻撃への対策も今後求められよう。
今すぐ取るべき対策としては、よくあるなりすましメールやショートメッセージの手口を知ることだ。「重要」「緊急」「新型コロナウイルスに関する最新情報」と件名に書かれている場合、送り手のメールアドレスや文面に不審な点がないか慎重な確認が必要である。
WHOや米疾病対策センターなど実際にある組織をかたったなりすましメールを送りつけるサイバー攻撃がすでに発生している。最新情報を確認するという名目で添付されたリンクをクリックさせ、アカウント情報を入力させようとする。
そのほかにも、医薬品製造業者を名乗り、「医薬品の輸送が滞っているため、対処する必要があり、こちらのリンクを確認してほしい」とのなりすましメールも見つかっている。リンクをクリックすると、情報を盗むタイプのコンピュータウイルスや身代金要求型ウイルスに感染してしまう。医療とサイバーセキュリティの両分野でウイルスとの戦いが続いている。
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