「鬼滅の刃」と「100ワニ」超ヒット漫画の共通点 「100日後に死ぬワニ」が超大ヒットした理由
だからこそ、現在の連載マンガの多くは極端な短期完結を前提としていない。ヒットを目指すならある程度長期化するのがほぼ前提であり、多くの場合「(少なくともある程度は)長く続けたい」というモチベーションとともにスタートしている。
この「いつ終わるかがスタート時点で明確になっていない」というのは、マンガという物語メディアにさまざまな形で影響している。人気があるうちは続けたいという原理のもと、「終盤はつまらなかった」と評される作品があるのも事実だ。
一方で連載という終わりの見えない形を取っていたことで、おそらくスタート時は作者も予想していなかったところに作品が到達する場合もある。数年、場合によっては10年単位で続く連載という形式だけが持つ魅力だ。
脱落者を生みづらい「100日後」という発明
『100日後に死ぬワニ』は、こうした連載の力学と切り離されたところで始まっている。Twitter「連載」という形ではあるが、ドラマや映画と同じようにいつ終わりを迎えるかが最初から宣言されている。100日後に向かって突き進む形になっているのだ。
連載というのはどうしても脱落者を生む。いつ終わるかわからない連載というのは、「そういえば今どうなってるの?」という読者を生みやすい形でもあるのだ。もちろん『100日後に死ぬワニ』でも、Twitterで見かけて興味を持ったものの脱落したという人はいるだろう。
だが、『100日後に死ぬワニ』は脱落しても「100日後」という戻るべき日が明確になっている。いったん離脱すると現在地を見失いやすい通常の連載作と違って、ワニは100日後というクライマックスが明確で、そこに合わせて戻ってきやすい形になっている。
さらにいえば、読者は100日目というゴールまでいつでも参加しやすい。もちろん初期から追いかけている読者とはまた思い入れや熱量も変わってくるだろうが、とにかくクライマックスは100日目であり、それをリアルタイムで体験できれば、ある程度この作品に参加したといえる。
とくにTwitter連載という形は後追いしやすい。1日目に知っても、30日目に知っても、99日目に知ったとしても、過去の連載を一気に読み、追いつくことができる。
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