転勤時のマイホーム、意外とやっかいな難題 マイホームなのに転勤!家を貸す際の注意点

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さて、給与所得者は、勤務先が源泉徴収や年末調整を行うので、特別な控除がなければ確定申告をする必要はない。ただし、家賃収入を得ることになれば、不動産所得が生じるので確定申告をすることになる。

給与所得に不動産所得が上乗せされるので、課税所得が変わる。一方、不動産所得は家賃収入から必要経費を除いた額になるが、賃貸初年度などでは必要経費が多くなることもある。家を貸すことで税額がどう変わるかは個別に異なるだろう。

不動産会社に賃貸の仲介・管理を依頼する時の注意点

転勤で不在になるが再びマイホームに住むのが前提であれば、一般的に入居者と「定期借家」の賃貸借契約を結ぶことになる。定期借家とは、あらかじめ契約期間を定め、契約期間が終了した時点で契約が終了するもの。転勤期間が3年なら3年の定期借家契約を結ぶといった具合だ。契約期間終了後は明け渡されるのが原則だが、入居者と合意して定期借家の再契約をすることは可能だ。

一般的な賃貸借契約では、借り手を保護するために借り手側の権利が強くなっている。転勤後に戻ってきたときに確実に明け渡してもらうためには、定期借家契約にするのがよいわけだ。ただし、家賃を設定する際には、一般的に定期借家のほうが安く設定される。

次に、家を貸すに際して、不動産会社にどのように依頼するかを見ていこう。

不動産会社には、入居者募集の「仲介」と入居者の「管理」業務を依頼することになる。転勤の場合は、入居者と賃貸借契約を交わす際に、貸し手となる自分の代わりに不動産会社に契約締結をしてもらうことになるので、「代理」という形で依頼するのが一般的だ。この場合は、入居者にとって大家に当たるのは、オーナーである自分となる。

ほかに、「転貸」で依頼する方法がある。転貸とは又貸しのことで、(1)不動産会社が借り手となって、オーナーである自分に家賃を払うが、実際には(2)不動産会社が大家になって入居者を募集して管理する、二重の構造となる。この場合、入居者から見た大家は不動産会社となる。

転勤族の賃貸管理を多く取り扱う東急住宅リースを事例に、さらに詳しく見ていこう。

同社では、「転勤で期間を定めて貸す」場合として、主に「代理型/定期借家」と「転貸型/定期借家」の商品を提案している。同社のユニット事業本部資産受託部コンサルティンググループマネージャー小椋智さんに、両商品の違いを聞いた。

最も大きな違いは、オーナーとしての負担に加え、大家としての負担を負うかどうかだという。転貸型なら大家としての役割を不動産会社が担うので、その分不動産会社の手数料も高めになる。

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