「コロナ経営不振」は内定取り消し理由になるか 内定者が不利益被らないために政府も対応

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これらの4要件を満たす必要があるので、かなりハードルが高い内定取り消し理由を求められる。新型コロナウイルスの感染者数が拡大していくのか、収束していくのか、いまだ見通しはたっていない。それによる景気や個々の企業活動への影響がどの程度続くのかも不透明だ。

このように将来の不確定要素が大きい現状では安易に内定を取り消すことは法的にも問題があると言える。もし、内定先から取り消しの通知を受けてもまずは同意しないことが重要だ。

政府も憂慮し始めた

また、安易な取り消しは社会の混乱、不安を招き、会社や財界の信頼も喪失する。国としても放置はできない問題であり、政府も動いた。

内閣官房内閣審議官、文部科学省高等教育局長、厚生労働省人材開発統括官等の連名で、3月13日に「新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた2020年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動及び2019年度卒業・修了予定等の内定者への特段の配慮に関する要請について」を日本経済団体連合会、経済同友会、日本商工会議所などへ行った。

来年度卒業予定者の就職活動への要請も含まれているが、この3月に卒業し、4月から就職を予定している内定者については以下の記述がある。

2019年度卒業・修了予定等の内定者について
① 採用内定の取り消しを防止するため、最大限の経営努力を行う等あらゆる手段を講じること。
② やむを得ない事情により採用内定の取り消し又は採用・入職時期の延期を行う場合には、対象者の就職先の確保について最大限の努力を行うとともに、対象者からの補償等の要求には誠意を持って対応すること。

①は整理解雇の4要件から、極力内定取り消しは回避すべきであること、②は、仮に要件を満たすとしても内定者の不利益を最小にするよう努力することを求めていると言える。

また、厚生労働省は、内定が取り消されてしまいそうなときは、ハローワーク(公共職業安定所)で内定取り消し回避に向けて事業主へ働きかけるとしているので、まずは相談するとよいだろう。

細川 幸一 日本女子大学名誉教授

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ほそかわ こういち / Koichi Hosokawa

専門は消費者政策、企業の社会的責任(CSR)。一橋大学博士(法学)。内閣府消費者委員会委員、埼玉県消費生活審議会会長代行、東京都消費生活対策審議会委員等を歴任。著書に『新版 大学生が知っておきたい 消費生活と法律』、『第2版 大学生が知っておきたい生活のなかの法律』(いずれも慶應義塾大学出版会)等がある。2021年に消費者保護活動の功績により内閣総理大臣表彰。歌舞伎を中心に観劇歴40年。自ら長唄三味線、沖縄三線をたしなむ。

 

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