日本人が「幸せ」を外国人より感じない根本理由 「世界幸福度ランキング」の結果をもとに分析
この図は私が監訳を務めた書籍『幸福の意外な正体』(ダニエル・ネトル著、山岡万里子翻訳)からの抜粋です。
イギリスでこんな調査が行われました。第一種(専門職)から第五種(単純労働)まで5段階に職種を分けて、生活満足度を調査しました。
劇的な違いはありませんが、第一種(専門職)の生活満足度と第五種(単純労働)の生活満足度を比べてみると、10段階評価で専門職のほうが0.5ポイント上回っていました。
この原因はいったい何なんでしょうか。
特別な資格を持った専門職と、単純労働者の満足度の違いでまず、考えられるのは収入の違いであって、これは確実に生活満足度を上げると言えるでしょう。
しかし、生活満足度を上げるのは収入の違いだけなのでしょうか。いったん収入を脇に置いておき、ほかの要因として本書ではこう述べられています。
例えば、清掃員は毎日他人が決めた場所に行き、他人が決めた時間に出勤し、他人が決めた時間に退勤します。自分では決められないのです。30年前の清掃員と自由度は変わりません。
一方で、専門職はどうでしょう。清掃員を雇用しているオーナーを例に挙げてみますと、オーナー自身は清掃員の出勤時間・退勤時間等を決め、オーナー自身は出社するしないを自分で決めることができます。
生活を自分で管理できる機会が与えられて初めて、人は幸せを感じることができる。所得が低くても、自分で自分の生活を管理できる道があれば、やはり幸せだと思えるのです。自分の行動を自分で決めるという自由度についても満足度を上げる要因になっています。
では、日本での自由度はどうでしょうか?
いつの間にか表現の自由が損なわれつつある
2019年4月、国境なき記者団が世界180カ国を対象とした『世界報道自由度ランキング2019』の結果を発表しました。日本は67位と決して高くはない順位です。なぜ、こういった結果になっているのでしょうか。
第2次安倍晋三内閣になってから日本の順位は最高で53位、最低で72位です。一番いいときで、2010年鳩山由紀夫内閣時の11位でした。
2016年にアメリカ国務省が発表した人権報告書には、当時の高市早苗総務相の「政治的公平性を欠く放送局を電波停止する」という旨の発言が指摘されました。さらに、特定秘密保護法の成立が報道機関への圧力を高めたのでは、ということも記されていました。
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