Slackはビジネス向けチャットコミュニケーションのプラットフォームだ。社内コミュニケーションの「電子メール脱却」を掲げてスタートしたこのサービスは、社内の組織の透明性向上や情報流通の活性化、そしてワークフローをSlackで完結させることによる業務効率化を推し進める役割を担うようになった。
2020会計年度を終えるまでに、有料プランを使う企業の数は11万を超え、継続課金ユーザーの平均は132%増加している。つまり、より規模の大きな企業が採用を進めていることがわかる。決算のデータでも、893社が年間10万ドル以上、70社が年間100万ドル以上を支払っており、それぞれ55%増、79%増だ。また、Slackは基本的に社内コミュニケーション手段だが、社外のメンバーを招待できる共有チャンネルの利用者数は3万2000社に上り、こちらも順調に増加している。
Slackへとコミュニケーションを移行した企業は、コミュニケーションをより即時的な反応が得られるチャットへ移行することになる。同時に、モバイル対応も実現し、どこにいても組織のコミュニケーションを維持し、仕事を回せる状態を作り出す。
Slackはなぜ支持されるのか?
創業者のスチュワート・バターフィールド氏は、自身も無数の社内Slackチャンネルに参加しているが、その6割のアクセスを手元のiPhoneから行っているというように、会社組織自体をモバイル対応させる力を持っている。分類としてはコミュニケーションのSaaS(クラウド上のソフトウェア)になるが、その生い立ちと広がりは異質なものだった。
「2012年の終わりまでにSlackとはなんたるかを定義し、2013年の中頃に秘密裏にベータ版をリリースしました。使ってみたいという人を招き入れたのです。そうした中で、何がうまくいき、何がよくなかったのかを見ながら変更を加え、さらに多くのベータユーザーを招待しました。こうして2014年までに毎日14000人がログインするようになっていました。サービスを公開し、6年になります」(バターフィールド氏)
筆者はバターフィールド氏の名前を、自分のカメラの趣味の中で重要な人物として記憶していた。Flickrと呼ばれる写真共有サービスを立ち上げた共同創業者の1人が、Slackの創業者、バターフィールド氏本人だったからだ。Flickrもオンラインゲームのチャットシステムとして出発し、写真共有へ「ピボット」(方針転換)して成功、Instagram台頭までデジタル写真文化の中心にあるサービスだった。バターフィールド氏はチャットサービスとしては2つ目のチャレンジであり、今回はビジネスをターゲットにしていたことがわかる。
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