一流の人は「努力の娯楽化」という共通点がある 持続可能なものは「好き」を中心に生まれる
楠木:まず、自分の「好き」に忠実な人は、とにかく喜んで、楽しそうにやっています。
わかりやすいことでいうと、「ファン」という状態。私自身も横浜DeNAベイスターズのファンですが、同じチームを応援しているときは、無条件に共感しますよね。あれも、勝手に同じような人が集まってきている状態。
もうひとつ別の観点でいえるのが、「無理をしていない」という状態です。「この人と一緒に旅行に行きたくないな」という人っていますよね。あれは、その人がどこか無理があるからです。一緒にいてこちらまで気を遣ってしまう。無理がない人っていうのは、それだけで相手にも無理をさせない。だから、無理をしない人の周りに、無理をしない人が集まってくるのです。
秦:なるほど。何か無理がある人って、その人の行動に手段性、つまり何かのためにやっているなということが見え隠れしていますよね。
楠木:まさに、それが見せかけの利他性です。それには無理があるので、相手につたわる。自分本位な人は無理をしないので、結果として相手にも無理をさせない。こちらのほうが、ずいぶんと利他的です。
一流の人に共通するのは「努力の娯楽化」
秦:無理をしないことは、頑張らないことではないですよね。
楠木:無理をしないというのは主観的なことであって、客観的なことではありません。むしろ、客観的にはものすごく頑張っている、努力しているように見えても、その人の中ではまったく無理がない。それはまさに、「努力の娯楽化」ができている状態です。
秦:確かに、超一流のスポーツ選手も、考えられないハードなトレーニングを楽しそうにやっていますね。
楠木:その人にとっては娯楽以外の何物でもありません。
ただ重要なのは、それは自分自身のJOYなので、他人に押し売りしてはならないという点です。ここで「自己中心」が頭をもたげると、俺はこんなにやっているということを周りに押し付けてしまう。
秦:これはビジネスの世界でも大いに言えることですよね。優秀なセールスマンというのは、いかに売れるかではなく、いかに楽しそうに自分の製品を語れるか、だと思います。自分の製品を語ることに喜びを感じていますから、売れようが売れまいが実はあまり気にしていない。結果的に、相手に無理をさせませんから売れるわけです。
楠木:自分の「好き」を中心に自分本位でいることが、最も利他性を生むということです。
(次回に続く)
(構成:高森勇旗)
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