セブン、米コンビニ「2兆円買収」破談にみた課題 アメリカ事業を加速する狙いだったが・・・

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「セブン&アイHDは業績不振に悩むそごう・西武も抱えている。『アメリカ事業で巨額買収を行うどころではない』と、井阪社長は経営判断したのでは」と、ある小売業界関係者はみる。

株式市場の評価もよくなかった。スピードウェイの買収を独占交渉しているという報道が2月20日に流れると、高額な買収価格を嫌気して、セブン&アイHDの株価は急落。終値は前日から9%安の3920円となった。

重要性が増すアメリカ事業

そもそも、セブン&アイHDがスピードウェイの買収を検討した背景には、経営環境の変化がある。同社にとって、アメリカ事業は重要性を増している。2016年10月に発表した中期経営計画では、業績不振に苦しむGMS(総合スーパー)や百貨店事業を抱える中で、日米のコンビニ事業を成長柱と位置づけた。

2019年2月期のセブン&アイHDの営業収益は6兆7912億円、営業利益は4115億円。うち日本のセブンは2467億円の営業利益を稼ぐ大黒柱だ。ただ足元については、日本のセブンは1店舗あたり売上高の伸びが鈍化している。加えて、2019年2月末から2020年2月末の1年間は出店を抑制している。前年には年間616店が純増したが、 2019年11月までの9カ月間では126店の純増にとどまった(2019年11月末の店舗数は2万1002店)。

セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長は、今回の買収に難色を示したようだ(撮影:今井康一)

次なる成長柱の育成が求められる中で、すでに2018年に営業総収入2兆8210億円、営業利益1110億円を稼いでいる米セブンの展開を加速する構えだ。

アメリカではコンビニの市場規模がほぼ横ばいだ。首位のセブンでも店舗数のシェアは約6%にとどまるため、これまで他社を買収して規模を追求することで、物流や仕入れ面での効率性を高めてきた。2018年1月に、1030店舗を展開するコンビニチェーン「スノコ」を3452億円で取得。ほかにも、数十店~150店程度の規模のコンビニチェーンを断続的に買収してきた。

今回のスピードウェイ買収は、店舗網を一気に拡充できるチャンスだった。米セブンは本社を構えるテキサス州に1192店(2018年12月時点、以下同)を展開するものの、スピードウェイの本社があるオハイオ州には65店舗しかなかった。一方、スピードウェイは本社があるオハイオ州で500店弱、近隣のインディアナ州やミシガン州にもそれぞれ約300店もの店舗網を持つ(2019年12月時点)。

ところが、今回は買収交渉が破談。セブン&アイHDは店舗数拡大のために、今後も次なる買収案件を模索するとみられる。

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