まるで戦時中「人が消えたイタリア」の現状

医師を圧倒する疫学的災難と指摘する声も

著名な政治家やウイルス学者は、コンテ首相にイタリア半島全体の包括的制限によって、危険度を明確にするよう急がせた。首相の新措置の説明は、深夜2時ではなくゴールデンタイムに行われた。イタリア政府は、FAQ形式でイタリア国民にできること、できないことをはっきりと詳しく説明する努力も行った。

10日、イタリアは本当に動揺しているようだった。ミラノでは、以前の陽気なミラノのように見えたが、人々の減少や商業活動の低下は著しかった。

ローマでは、市のモンテヴェルデ地区の静かな通りをジョギングする人々が、マスクとゴム手袋を着用していた。イタリア国民は無頓着さをかなぐり捨て、使命感を持って閉じこもった。4月3日まで学校は休校となり、自宅で子供を教える親もいた。

「自宅にとどまる人は余裕のある人」

サルサメンテリア・ルッジェリでは、肉屋のエプロン姿で白いマスク姿の男が同時に入店する顧客数を制限していた。

「みんな怖がっている」と老舗チョコレート屋であるマリオンド・ガリオの店員であるナディア・ブチャレリは話す。「仕方ないけど」。今出歩いているのは観光客だが、政府は観光客にも出かけてほしくないと考えている。政府の政令では観光は「避けるべき」ことで、観光客の移動は「自宅、居住地、住所に戻ること」に限定すべきであると書かれていた。

ローマ中心、パンテオンのそばにある閉鎖されたドア横の掲示は、観光客に観光する代わりに遺跡などについてのアプリをダウンロードするよう勧めていた。聖イグナチオ教会の神父は、入り口隣の聖水盤を空にした。スペイン階段近くのコンドッティ通りでは、高級店は開店しているが、店に入る者はほとんどいなかった。

その中でもほぼひとつだけ、ミラノが本拠のアルマーニは、公衆の「健康を守る」ため閉店したままだ。

「状況は悪化している」と、ピザ・ナヴォーナでレストランに客を呼び込みながらオルジェスト・ドジャは語る。

トラステヴェレのレストランでは、デンマークからの観光客であるミシェル・デジュール(49)がテーブルの端でコーヒーを飲み、夫は白ワインをもう片方の端ですすっていた。「ウェイターにそうするように言われた」と彼女は話す。

人と接触することが強制される労働者の中には、イタリアのセレブたちが自宅から出ないように要請していることに階級差を感じている人もいる。「家にとどまるのは余裕があるからだ」と、タクシー運転手のアンドレア・アルカンジェリ(41)は話す。店が休業しているのは閉店を命令されたのではなく「外に誰もいないから」だと不平を言った。

まったくそのとおりだった。

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