まるで戦時中「人が消えたイタリア」の現状 医師を圧倒する疫学的災難と指摘する声も

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いつもは観光客で混み合っているミラノの大聖堂広場は閑散としている(写真:The New York Times)

イタリアはメッセージを理解した。蔓延する新型コロナウィルス拡散を阻止するため、ヨーロッパ初の全国規模の人の移動と公共の集会を制限した初日、イタリア国民は、街頭、店舗、教会、サッカー場からいなくなった。

イタリア国民は、高齢者を守り医療システム崩壊を防ぐために公衆の犠牲を訴えた、3月9日夜、ジュセッペ・コンテ首相が発表した政府の「自宅にとどまる」政令を守っていた。

スーパーでは一度に店内に入れるのは数人

しかし、国民が屋内にとどまっている間も、大流行の最前線であるイタリア北部地域の当局者は、感染抑圧のため、原則的に全商業活動と、公共交通の停止といった、さらに強力な措置を求めていた。

ミラノと感染が広がった大半の都市があるロンバルディア州のアッティリオ・フォンタナ知事は、「断固たる措置の時」だと話した。当局者は、全面閉鎖は2週間続く可能性を示唆した。この要請が速やかにロ-マ政府の承認が得られることを知事は希望していると知事の広報担当官は述べた。

こうした中、イタリア国民はウイルス拡散と戦うため、ソファーに腰掛け、戦闘体制の配置に就いた。

ローマでは、通常はごった返すトレヴィの泉から水は流れていたが、あたりには誰もいない。サン・ピエトロ大聖堂を通り過ぎる人影はほぼなく、政府は旅行者に帰国するか、ホテルに戻るよう指示した。スーパーマーケットの外には人が並んでいた。政令で定めた社会的距離のルールを守れるように、一度に買い物できる客は数人に限られていた。

これは完全閉鎖ではなかった。外出を控えるよう命令されていたが、仕事、食料品、生活必需品(政府によると電球など)を求めるなどのほか、医療、育児、高齢者介護に関連する理由があれば、まだ動き回ることができた。

しかし制服を着た警官と兵士は全国に検問所を設けた。後日当局が確認できるよう、呼び止めた人は、公式書類に記入し移動を説明することが必要だ。書類上の虚偽は犯罪である。

鉄道のボローニャ駅の警察検問所の隣に立っていたヴァレンティーナ・シコローネ(30)は、この状況を「シュールレアリスム」と言う。彼女はボーイフレンドに会いにやってきて、今はミラノ行き列車を待っていた。ミラノでは勤務先のホテルの改修の監督を手伝う必要があるからだ。ホテルはこのところキャンセル続きで休業していた。

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