B)総合商社では、三菱商事と住友商事が国内社員の原則在宅勤務を義務づけた。ほかの商社でもテレワークの推奨などをしている。三菱商事では約3800人、住友商事では約4000人が在宅勤務となったよ。
住友商事の場合、もともと今夏の東京五輪開催を見据えてテレワークを推進していたので、突然の在宅勤務義務化でも混乱なく対応できたようだね。
C)プラント業界ではプラント建設の遅れが懸念されている。千代田化工建設や日揮は大型プラントを建設するとき、一部でモジュール工法を活用している。プラント建設現場での作業を減らすために、建設現場とは別の場所で配管などの構成要素(モジュール)を造り、建設現場に運んで組み立てるんだが、千代化も日揮もそのモジュールの製作を中国などで行っているんだ。
現状、モジュール製作に遅れは出ていないが、新型コロナの影響が長引いてモジュール製作が遅延するようなことがあれば、大型プロジェクトの工期が遅れる懸念もありそうだ。
感染者が出ても民間工事は中止できない
デスク)伊藤忠商事では新型コロナウイルスに感染した社員が出たよね。
B)ブラジルのサンパウロに駐在している50代社員が感染した。2月23日から休暇で日本に帰国し、実家のある福岡県に2月29日まで滞在していた。この間、伊藤忠の本社や支社などには出社していなかったが、サンパウロに帰任して通常どおり勤務していたところ、検査をしたら新型コロナウイルスに罹患(りかん)していることがわかった。
C)千代田化工の派遣社員でも感染者が出たが、本人の治療はすでに終了している。社内の濃厚接触者も発症は確認されていない。持病を持つ社員は在宅勤務をしており、業務に大きな影響は出ていないそうだよ。
D)建設業界では、熊本県で土木作業員2人、千葉県で現場警備員の1人の発症が確認された。準大手ゼネコンの五洋建設でも営業担当者1人が感染した。
こうした事態を受けて、国土交通省は公共工事の中断や延期を認めることになったよ。現在進行中の約9000件の工事のうち、200件の工事が一時中止となった。
デスク)民間工事での中止は出ていないの?
D)あるゼネコン幹部は「発症者でも出ない限り民間発注の工事を止めることはできない」と言っていたよ。
ただ、トイレやキッチンといった資材の調達に遅れが生じているようだ。住宅設備大手のTOTOとLIXILは、協力会社からのトイレやキッチンの部品調達が遅れ、納期が見通せていない。TOTOは「いつ納期の遅延が解消するのか、いつよくなるか言えない状況」と説明していたよ。
一部のオフィスや商業施設でも、床材、外壁などに使うタイル、エントランスに張ったり墓石に使う石材で調達遅延が発生している。ある床材大手は「中国で生産している塩ビタイルの一部特殊な形のものの供給が滞っている」と話していた。
戸建て住宅の引き渡しが遅れたり、「一部のフロアでトイレが作れていない。今後、工期に影響が出てくるのではないか」というゼネコンもあった。