シッター事件…子どもの預け先がない! 追い詰められる前に。安心シッター確保7カ条
都内で保育施設を営む女性(45)は自分で見極める。会社員時代、子どもを産んで3カ月で職場復帰。保育園は入るのが難しく、最初からシッターのみで子育てをしてきた。人が集まるスーパーマーケットやネット上の掲示板に募集を出し、面接をして「子どもが楽しく過ごせる人」を確保してきた。
「お小遣い稼ぎなのか、本業なのかは大事。切羽詰まっている状態だと危険なので、月15万~20万円は払えるように仕事を固めてあげました。シッターにとっても“失いたくない大事な顧客”にならなきゃいけない」
驚くことに、1年前、会社の求人で面接に来た5、6人中に物袋容疑者もいたという。ダボダボのジーンズと、背中に大きな刺繍が入った長いスタジャン。逮捕時と同じ服だった。面接の時、玄関先で「どうぞ」と家に入るように促すと、あいさつもなく、先に部屋の奥まで入っていった。脱ぎっぱなしの靴を揃えることもなかった。
「自分のことは一生懸命に説明していましたが、あいさつもしないし、会話もかみ合わない。この人は仕事を探すのにとても苦労するだろうなと、印象に残っていたので、ニュースを見てすぐに彼だとわかりました」
子連れで面接 子どもが好きか相手を見極める
ネットシッター肯定派もいる。今回の事件で当事者がやりとりした紹介サイト「シッターズネット」を、2年ほど前から利用する40代の男性はこう語る。
「会社派遣のシッターは料金が高いし、子どもが好きで働いている人かどうかわからない。それなら安くて、自分の目で人柄を見極められるほうがいい」
複数の掲示板に書き込んで20人前後と連絡を取り、条件が合えば夫婦と下の子2人を同席させて面談。その場で「子どもに話しかけるかどうか」を見る。必ず運転免許証や健康保険証などの公的な身分証明書と履歴書を出してもらうようにした。
週6日、4~5時間を3人のベビーシッターが交代で子どもたちと過ごしている。時給は800~1千円。派遣会社を通した場合の半額以下で、子ども好きで信頼できる人を雇うことができたと話す。
今回の事件は、決して母親に子どもへの愛情がなかったから起きたわけではない。
「おカネのこともあって、すぐに預けられる場所もなかった。あの時、助けられなかった。ごめんねってしか言えない」
母親は事件後、報道陣に涙ながらにこう語った。