シッター事件…子どもの預け先がない! 追い詰められる前に。安心シッター確保7カ条
都内でファミサポの預かり会員をする女性も制度の使いにくさを指摘する。
「事務体制が硬直的で、急な病気の時、おなじみの人に直接頼むことも原則的には許されず、事前にセンターを通さねばならない。もちろん土日休業です」
未就学児2人を抱えながら出版社に勤める40歳の女性は、子どもが病気になって保育園に行けないときや残業が必要なとき、入会しているベビーシッター企業に派遣を頼む。
「預け先がどうしても見つからないときに頼むから、来てくださるだけでありがたいです。でも費用は入会金に年会費、利用料に深夜や当日割り増しなどが積み重なって非現実的な『セレブ価格』になる。利用するかどうかはおカネとの天秤。追い詰められたママは弱者だと思います」
共働きで収入の安定した夫婦でさえも高いと感じるベビーシッター企業の利用料金。病児保育の認定NPO法人フローレンス代表の駒崎弘樹さん(34)はこう解説する。
「行政の補助は施設型の保育所に向けたものばかり。ベビーシッターをほとんど支援してこなかったため高額になり、ネットの紹介サイトなどの安価な個人シッターに流れる構造を生んだ」
「保育園を考える親の会」代表の普光院亜紀さんも追い詰められた親たちを危惧する。
「子育てしている親、というだけで弱い存在。経済的、時間的ゆとりがないと、もっと弱くなり、危ないサービスにすがってしまう」
そんな中で、質の高いベビーシッターを見つけるにはどうしたらいいのか。
横浜市に住む営業職の女性(37)は夫婦とも地方出身の共働きで、急な仕事が入ったり子どもが病気になった時はベビーシッターしか頼れない。先日、6歳の子がインフルエンザに感染して5日間頼み、1日1万9千円、計10万円ほどの出費は痛かった。だが、いつも来てもらっているシッターの都合が悪かったことが不安だった。名前と携帯電話の番号、50代で子育て経験ありという会社からの情報だけで、初対面のシッターに大事な子どもと自宅のカギを預けた。
「顔見知りの管理人がいて、防犯カメラがあるから連れ去られても気づくはず。でも、ウソをつかれればどうしようもない。結局、会社がやっているという研修や身分証明を信頼するしかないんです」