橋下徹氏「交渉で相手を動かす手法は3つだけ」 自分の目的を達成するのに必要なのは交渉力
そんな人たちを相手に、年間100件以上は交渉をやってきたから、敵対的交渉のノウハウが実践で身に付いていった。ちまたではやっていた、いわゆる交渉術の本も読みあさったが、それらはほとんど役に立たなかった。とくにハーバード流とか何とか、大学名が冠に付いた交渉術本はまったくダメだった。
それらの本が想定している相手は、理知的・理性的な相手ばかり。そして事件の始まりから終わりまでの全体を見渡したうえで、事後的に「ああすればいい」「こうすればいい」と論じるものがほとんど。
とくに交渉を実際にやっているときには、当然ながら最後の結末はもちろん交渉の全体像までを俯瞰することはできない。最後の結末をわかったうえで、このときはこうすればいい、このときはああすればいい、と言うのは簡単なことだ。これは評論家や学者がよくやる論法。
交渉の手法は3つしかない
しかし、最後の結末や交渉の全体像が見渡せない中で、そのときそのときにどう判断するかは、評論家や学者が論じる交渉術とはまったく異なる交渉の実践術が必要になる。
では、実践的に数多くの交渉を積み上げてきたことによって導き出された、僕の交渉ノウハウはどのようなものか。それは30代前半で著した本にもまとめたが、今読んでもそのまま使えるものだと思う。
相手を動かすためには、
1 利益を与える(譲歩する)
2 合法的に脅す
3 お願いする
――この3つの手法しかない。
まとめると、こんなところだ。実にシンプルなのだが、汎用性、普遍性がある。小難しく語られるゲーム理論などは、交渉におけるその場その場の判断には役立たない。この3つの手法は、弁護士の事件解決に向けての交渉だけではなく、どんな交渉にも使える。国と国との外交においてすら、この手法が使えるのである。
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