電気機器も、その顔ぶれや順位に大きな変動は見られない。しかし、10社すべてが、総合順位でランクアップ。理系ランキングでもメーカーの躍進が目についたが、「ものづくり日本」の復活となるのか、今後の動向に注目したい。
業種として人気上昇が目立つのは、通信・IT・ソフトウエアも同じ。その中でも群を抜いているのが、NTTグループだ。トップ10のうち、5社がNTTグループという独占状態となった。
一方、商社の人気は下降気味だ。知名度の割に、採用人数が少ないことが敬遠された理由だろう。目立った動きとしては、丸紅が順位を1つ上げて3位に入ったことだ。伊藤忠商事と同様に女子票を集めたことがランクアップにつながった。
不況時に強いといわれる食品は、順位を上げている企業が多い。そんな中、ビール大手2社が順位を下げた。若者のビール離れなど、嗜好の変化が影を落としているのかもしれない。サントリーとキリンビールの経営統合など、業界再編の動きもあり、今後が気になるところだ。
今回新たに、学科系統別ランキングを掲載した。この結果を見ると、特定の専門性を持った学生の人気企業を見いだすことができる。
文系学生と一口にいっても、法・経済・経営系と文・教育学系では、顔ぶれは大きく異なる。総合ランキングで目立った金融人気だが、それは法・経済・経営系の学生に集中しており、文・教育学系の学生では、まだマスコミ人気が保たれている。
工学(機械)系の学生から高い支持を得たのは、ホンダ。ソニーやパナソニックといった総合ランキングで人気の高い企業を押さえてトップとなった。理学系では、花王が総合3位の資生堂を押さえてトップとなり、強さを見せた。農学系では総合194位のサカタのタネが2位に入り、農学専攻の学生に高い人気を誇っていることが分かる。
今年は総じて地に足の着いたランキングとなった。就活前半まで「売り手市場」を引きずっていた昨年と異なり、スタート前から「買い手市場」一色の今年は、「就職しやすさ」「安定」といったキーワードに反応しているようだ。今後、業界・企業研究が進んでいく中で、どんな変化が起きていくのかも注目したい。