スペースバリューで表出した元社長との深い溝 対立の根底にあるのは第三者委員会の報告書

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森岡氏からの通知文に対して、SVHは2月12日付「回答書」の中で、「本件報告書(調査報告書)は森岡前代表の同意に基づき公開されたもの」と指摘(森岡氏は「公開を認めたことはない」と否定)。「スラップ訴訟を目的とした当該一連の請求に対して毅然とした法的対応をさせていただく」としている。

SVHに「森岡氏の提訴請求は、強者が弱者を威圧するものであるスラップ訴訟に当たらないのではないか」など複数の質問をしたところ、2月21日に届いた会社側の回答は「個別の紛争案件に関わりますので、ご指摘されている事実関係等の当否も含めて、ご回答を差し控えさせていただきます」というものだった。

その直後、SVHは「前社長・森岡篤弘氏らからの提訴請求に対する不提訴理由通知書の送付について」と題したリリースを2月25日に発表する。

監査役が調査チームを設けて調査・検討を進めた結果、「本提訴請求で主張されている事実は認められず、本件取締役らには責任は認められないことから、本件取締役らに対して訴えを提起しないことを監査役3名全員の意見として決定し、森岡氏らに通知した」と公表した。株主代表訴訟では、まず監査役に取締役を提訴するよう促す決まりになっている。今回は、監査役が検討した結果、「提訴の必要なし」と判断したわけだ。

さらに3月2日、冒頭で書いたように、不明な経費精算があったとして森岡氏に約2億円の損害賠償請求の訴えを行ったとSVHは公表している。

調査報告書の内容を別の弁護士が再調査

森岡氏とSVHの対立原因である第三者委員会が設立されたのは2019年3月11日。翌4月10日、森岡氏を含む全取締役は、第三者委員会に関わった法律事務所に呼び出され、4月12日に受領する調査報告書に関する説明を受けた。

さらにその場で臨時取締役会が開かれ、「代表取締役を辞任しないと監査意見を出さないと監査法人が言っている」という話が出たという。そこで森岡氏は代表取締役会長兼社長CEOを辞任(取締役は継続)。いとこである森岡直樹取締役が新たに代表取締役社長CEOに就くことが決まった。

SVHが第三者委員会の調査報告書を正式に受領したのはその2日後の2019年4月12日とされる。報告書には、森岡氏が①反市場的勢力とされる者と交友している、②外資系ブランドホテルの建設計画(山下町案件)において事実上の粉飾指示をしていた、③女性関係・接待交際費に問題があった、④リベートその他不正な資金供与の疑いがあった、⑤社内外で粗暴な行為があった、⑥人事権を振りかざした恐怖政治を行っていた、⑦「取り巻き政治」を行っていた、と指摘した。

調査報告書受領から6日後の4月18日、「シンジケートローンを組んでいる銀行から、取締役を辞任しないとローンのつなぎができないという話があり」(森岡氏)、取締役も辞任した。だが、第三者委員会報告書の結論に納得がいかない森岡氏は、別の弁護士に再調査を依頼した。

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