かんぽ生命、新社長が危機感を示した深刻事情 不適正募集の発覚前から続く契約数の減少

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2月21日に共同インタビューに応じたかんぽ生命の千田哲也・新社長(記者撮影)

「これほどのボリューム感のある事態が起こっているとはわかっておりませんでした。去年4月に(日本郵政から)かんぽ生命保険に戻ってきて、『不適正募集調査を最前線でやれ』と言われて、実際に見て(不適正募集件数の多さに)『ええっ!』と思ったのが本当のところ」。2月21日、かんぽ生命の千田哲也・新社長は共同インタビューでそう述べた。

かんぽ商品の9割は郵便局員が委託を受けて販売している。局員による不適正募集はわかっているだけでも23.6万件。社内ルール違反は1608件・1272人、法令違反は153件・175人(2月19日時点)と発表の度に増えている。元検事3人で構成する特別調査委員会が2020年3月末をメドに追加調査を実施中で、違反件数はさらに増える可能性が高い。

2019年12月18日に特別調査委員会がまとめた「調査報告書」によれば、かんぽの不適正募集を職場で見聞きしたことがある郵便局員は5割前後。つまり、2人に1人は知っていた。

「数字ありきの推進管理」

不適正募集が広く行われていることは現場では周知の事実なのに、本社が知らないのはなぜか。調査報告書は「見て見ぬふりをするという風潮が存在した」と指摘している。不適正募集が積み上がった背景を、ある郵便局員は「数字ありきの推進管理」と指摘する。

かんぽの契約は、「速報値」で営業推進の状況が管理されてきた。これは顧客が申し込んだ段階で実績にカウントする仕組みだ。だが、契約はそれだけで完了せず、被保険者の面接や事務センターによる契約確認など「面接観査」という作業がある。

2015年3月19日付の内部資料「営業品質向上のための取組」の中には、「『面接観査』完了の有無にかかわらず、申込日には営業実績がひとまず計上される仕組み」を悪用し、「偽造契約が発生」と記されている。そのため、2015年度から「準確定値」の試験導入が決まった。

準確定値は、「『申込み』又は『面接観査』が完了した日のうちのいずれか遅い日に営業実績を計上」する仕組みだ。これにより、偽造契約を防ぐとともに、被保険者が同意していなかったことで契約ができない保険を減らすのが目的だ。

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