スペースバリューで表出した元社長との深い溝 対立の根底にあるのは第三者委員会の報告書
調査の結果は以下のようなものだった。
①反市場的勢力とされる者との交友:当該人物は実業家としての信用力には不安要素があるが、反市場的勢力にも反社会的勢力との密接交際者にも該当しない。
②山下町案件の粉飾指示:粉飾指示ではなく、選択可能な会計処理に関する認識の相違。
③女性関係・接待交際費の問題:森岡前代表は得意先、仕入先との関係性の構築維持のための接待を担当していた。森岡前代表の役割や取引先との関係について調査をしない第三者委員会報告は不自然・不合理な事実認定および評価である。
④不正な資金供与の疑い:直近3カ年の森岡前代表の確定申告書や某社の総勘定元帳からは、不明な売り上げや所得は存在せず不正な資金供与を受けていないと推量される。
⑤社内外の粗暴な行為:粗暴な行為に及んだのは別の取締役であり、森岡前代表はその人物を抑えるために頭を平手で叩いていさめた。
⑥恐怖政治:森岡氏は自身の影響力が強いことを自覚していたために社内ミーティングへの参加を控えていた。ホールディングス化し事業の運営管理は各社社長が行っていた。それらを指摘せずに独裁と指摘するのは不自然・不合理な事実評価である。
⑦取り巻き政治:森岡氏は先代の取り巻き政治に問題があったからこそ、みずほ銀行出身者や三井住友銀行出身者、公認会計士、弁護士、上場企業社長を取締役として推薦した。それを取り巻き政治というのは不自然・不合理な事実評価である。
つまり、第三者委員会の調査報告書と再調査とでは、主要な点において真逆である。
中立的、客観的な検証を行う必要性
森岡氏は、この再調査結果に対する評価を別の弁護士に依頼した。評価を依頼された弁護士は「(再調査の結果は)第三者委員会報告書への対応・反論として有効かつ適切」とした。
そして森岡氏に対し、「当面、推移を静観し、万が一、スペースバリューホールディングスから訴訟を提起された場合は、再調査結果を基本とした訴訟対応を行うのがいい」とアドバイスしている。
自ら第三者委員会の委員長を務めた経験もあり、委員会の問題に詳しい郷原信郎弁護士は、「公表された第三者委員会報告書を見る限り、そもそも委員会を設置した目的は何だったのか、疑問を感じざるをえない。会社の支配権争いに第三者委員会が悪用された典型例のように思える」と話す。
そして、「第三者委員会の設置経緯、調査内容、委員会報告書公表と前社長辞任の経緯、監査法人の関与等について、現経営陣と利害関係のない立場の弁護士等により、改めて、中立的、客観的な検証を行う必要がある」と指摘する。
SVHが森岡氏を提訴したことで、両者の対立は深まるばかりだ。果たして今後、根因となっている第三者委員会の調査報告書の「中立的、客観的な検証」は行われるのだろうか。
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