東大生です。コンサルに内定しましたが・・・ 【キャリア相談 Vol.29】

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質問者の方は「小さいファームだからこそ自分の担当領域が広くなり、力がつく」可能性を示唆されていますが、そもそも小さいためにクライアントやプロジェクトの質が低いかもしれません。しかしながらクライアントに対し守秘義務のあるファームに、入社前にそこを詮索しても、あまり意味はありません。根拠のない自信を持って、「自分が客を獲ってくる」くらいに思っていたほうが期待値コントロールできます。

付言しますと、筆者は欧州の某国が債務超過に陥ったときに数名のチームでアドバイスを行った某ブティックファームのようなものが、本物のプロフェッショナルだと思います。小さなファームでも30歳でパートナーになり、数億円単位のフィーのクライアントを持っていたら、どこのファームでも移れるでしょう。もちろん起業してもいいでしょうし、外資Guyとして、報酬の高い外資系企業のポジションを転々として稼ぐのもいいでしょう、それは個人の好みの問題です。

質問者の方がPFを選んだということは、従来の連続的なキャリアではなく、これからの時代の非連続なキャリアを選んだということだと思います。その中では20代のジュニア時代には精緻な定量分析をマスターし、シニアになったらクライアントに芸人として、芸風や人間性で認められることが必要となります。

1970年代にマッキンゼーに入社した大前研一氏や、1980年代に新卒でソロモンブラザースに入社した松本大氏が、「小さいファームに入ったら、その後の転職が不安」と思ったのでしょうか? よくお考えください。筆者の勤務先IGPIのCEO冨山和彦も1980年代に司法試験に受かった後に弁護士にならずに、BCGに入社しています。PFでは最終的に看板はあなた個人です。

小さなことは考えず、ヤミ練に励め

筆者は東大で講演する際に、「東大生の人気企業になったら、その企業の旬は過ぎたと思います」とよく言っています。聴衆には非常にうけていただけるのですが、既存の権威や両親の意向に従う傾向のある保守的な学生が選好するような企業や市場には、もう先行者がアービトラージする要素はなく、成熟に入ったと考えるほうが妥当というのが真意です。

PFに向いている人というのは、楽観的で、個として自立しており、その自由を楽しめるような人です。理系でB型で左利きだとなお可です。合コンでも●●銀行や●●商事の名刺を出せば「すごぉーい」となるでしょうが、「●●アンドカンパニーインク、ジャパン」という名刺では、「インク会社にお勤めなんですか?」と聞かれることさえあります(実話)。会社の名前に頼らず楽しく生きていきましょう。

東大に限らず、難関と呼ばれる大学の学生の方々に筆者が講演する際に、「ここにいる人たちには共通の能力があります、それは机の前にじっと座ることができたという能力です」とよく申し上げるのですが、地頭がよくても勉強しないヤンキーはいるものですし、大学名は18歳のときの試験の点数以外の何物でもありません。

テストの点は勉強量にだいたい正比例しますので、費用対効果が見えやすいですが、社会に出れば努力は簡単には報われず、変数だらけです。従来からの労働環境の連続性が不透明な中、組織の権威にベットするのではなく、自分の腕で生きていこうと考えた学生が、新卒でPFに入るのだと思います。

質問者の方はせっかく高いCPUがあるのなら、将来の転職先のような小さなことは考えずに、Gゼロの世界秩序の中で、成すべきことが来る日のためにひたすらCPUパワーを上げ、ヤミ練に励みましょう。プロフェッショナルとしてのマネジメントの知見は、何も営利企業だけに適用されるものではありません。それは非営利団体や政府、そして国家のリスクイベントに対しても発揮されるべきものです。どうぞ個として、プロフェッショナルとしてイベントをお楽しみください。

※ 塩野さんへのキャリア相談はこちら

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