まず質問者の方は「プロフェッショナルファーム(以下、PFという)」に入社されようとしています。プロフェッショナルにとって究極的には組織はただの箱であり、個人がプロとして生きていけるかが問われます。正直に言って、プロフェッショナルであることは能力よりも「心構え」の問題です、おしゃれには「マインドセット」でしょうか。
PFではよく言われる話ですが、新卒でPFに入って、1日目から「1時間のタイムチャージいくらね」や「バリュー出してる?」と言われるUp or Outの世界で生きてきた27歳と、「組織がデカすぎて、自分がいてもいなくても関係なくね」と30歳になってMBAに行った後にPFに入った人間では、圧倒的に27歳のほうが仕事ができます、ほとんど比較にならないのが普通です。
これはCPUの問題というより、卵から出たヒヨコが最初に見た環境において、個としてプロフェッショナリズムを要求されたかどうかという、ほとんど意識の差でしかありません。ただ数年経つと、この差が非常に大きくなってきます。
PFにあるのは人間だけです。法律事務所や監査法人もPFですが、資格による独占業務という環境があります。M&Aアドバイザリーやコンサルティングというのは「この道、30年」の社長や部長に、「いいこと」を言っておカネをもらうビジネスです。そしてシニアになればなるほど、「芸人」として「売れるか」どうかです。そういう世界に自分が向いていないと思うなら、いますぐ入社はやめたほうがいいでしょう。
「俺が一流にする」という気概が必要
質問者の方は「長いキャリアのことを考えると、小さいファームからの転職やキャリアアップというのは少々不安があります」とおっしゃいますが、「小さい」の定義は何でしょうか?
外資系戦略系コンサルティングファームの東京オフィスは、大きくて300人規模、小さい場合は100人いません。ちなみに日立の従業員数は約3万3000人です。この比較感では、外資系戦略系コンサルティングファームは、資本も小さい中小企業と考えることもできます。
申し上げたようにPFは人しかいないのです。こうした環境では「自分はひとりのプロとして一流になれる」という自信、ある種の傲慢さが必要になってきます。特に実績の少ない小さなファームでは、「このファームをオレ(私)が一流にしてみせる」くらいの気概がなければ、東大から日本の一流銀行や商社に行ったほうがいいと思います。
もちろん本人に実力さえあれば、小さなファームからだろうが、一流事業会社に中途入社は可能です。ですが、現在の日本においては、プロパーでなければ多くの場合、エスタブリッシュされた企業において二級市民です。銀行だったら東大法卒、平成●年入行の同期1500人の中で選抜され、30代前半で「コース」に乗っていることが重要なのです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら