2030年以降、どの国も「負け組」になりえる理由 気候変動が最悪シナリオで進めば混迷は必至だ

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2048年までに「最悪のシナリオ」が起こった場合、「負け組」上位10カ国は、サウジアラビア、香港、マルタ、マレーシア、アルジェリア、フィリピン、バーレーン、シンガポール、タイ、カタールである。最大の「負け組」はサウジアラビアで、2048年までにGDPは10%縮小する。

シンガポールは、気候変動による海面上昇でもっとも影響を受ける国の1つである。同国のGDPは2048年までに2%低下する。

この島のほとんどは海面から15mしかない低地。国土の30%が海面からわずか5mの超低地である。このほど昼食をともにしたビラハリ・カウシカン元外務次官は「気候変動は、シンガポールにとっては生きるか死ぬかの生存課題だ。最悪のシナリオに備えるしかない。それでも我々はカネをかけて備えることができるだけ恵まれている」と私に言った。

国連の気候変動に関する政府間パネルは、21世紀末に世界の海洋の水面が1m上昇すると予測しているが、シンガポールは3mの「最悪のシナリオ」を想定し、防波堤や土手などの積み上げを行なっている。チャンギ空港の最新のターミナルは海面より5.5m高い水準にする方針である。

シンガポールだけではない

「シンガポールだけでなく東南アジアのほとんどの国々も同じ状況になる。インドネシアの首都移転計画も気候変動によるジャカルタの水枯渇が大きな原因となっている」とカウシカンは付け加えた。湿地に位置するジャカルタは異常潮位と海面上昇に加えて地下水の過剰な汲み上げで地盤が沈下、いまでは半分が海抜ゼロメートル地帯である。

これに対して、北欧などの国々は、石油価格が下落する上、ツーリズムが活発になり「勝ち組」となる。ルクセンブルク、オーストリア、スロベニア、スウェーデン、デンマークなどである。

ところで、世界の12大経済大国は同じ「最悪のシナリオ」の場合、どうか?

カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、アメリカが「勝ち組」。ブラジル、ロシア、インド、中国が「負け組」。「負け組」ではインドが一番、打撃を受ける。ここでは今後、数億人のインド人が農村から都市に移動する。一方で、沿海部大都市のコルコタ、チェンナイ、ムンバイは海面上昇で甚大な被害を受ける。日本、韓国、イタリアはややマイナス気味だが、ほとんど変わらない。

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