気候大変動が地球と人類に与えうる「12の脅威」 暗澹たる未来図が示すのは団結せよという号令
海洋は二酸化炭素を吸収してきた結果、「海洋酸性化」という現象が起きている。海洋酸性化はサンゴだけでなく、魚の生息数にも打撃を与える。オーストラリア沿岸では、わずか10年間で魚の数が32パーセントも減少した。
過去50年間で、海水が完全に無酸素化した「デッド・ゾーン」は世界で400カ所以上に増えた。面積にするとヨーロッパ大陸にほぼ相当する数百万平方キロメートルにもなる。酸素量が極端に少なく、悪臭を放つ海に悩まされる町も増えている。最大の原因は海水温の上昇だ。
世界の人口の95パーセントは、危険なレベルにまで汚染された空気のなかでくらしている。2013年以降、中国は大気浄化作戦に本格的に乗り出したが、2015年時点では大気汚染で毎年100万人以上の死者が出ている。世界全体では、死者6人のうち1人は大気汚染が原因で死亡している計算になる。
現在、大気汚染で1日当たり1万人以上もが命を落としている。温暖化が進んでオゾン生成が増えれば、21世紀半ばにはオゾンスモッグの発生が70パーセント増える。そして2090年代には、世界で20億人が世界保健機関(WHO)の定める安全基準を満たさない空気を呼吸することになるだろう。
未知の感染症が意外な地域まで広がる
地球温暖化で生態系が変化すると、病原菌はこれまでと異なる地域でも生き延びる。蚊が媒介する感染症はいまはまだ熱帯地域に限定されているが、温暖化によって、熱帯域は10年に50キロメートル弱の勢いで拡大している。熱帯の境界とともに蚊も北に移動している。
気候と感染症の関係でたしかなことは、暑い地域ほどウイルスは活発になるということだ。現状の気温上昇ペースをもとに、世界銀行は2030年には36億人がマラリアの危険にさらされると予測する。
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