気候大変動が地球と人類に与えうる「12の脅威」 暗澹たる未来図が示すのは団結せよという号令
今後は山火事の件数が増え、延焼面積も広がる一方だ。現在アメリカでは、山火事で焼けた土地の面積は、1970年とくらべて2倍だが、2050年には山火事の被害面積は4倍になり、場所によっては5倍になるだろう。
山火事はアメリカだけではなく、世界全体の問題だ。氷に覆われたグリーンランドでも、2017年に起きた山火事で燃えた面積は2014年の10倍だった。
大規模な山火事の影響により、新しい生態サイクルが始まる。たとえばカリフォルニアの場合、乾燥が進み、山火事が増える一方で雨も多くなると科学者は警告する。1862年に起きたような大洪水が3倍に増えるというのだ。
2017年夏の北半球は、かつてない極端な気候が続いた。2018年の夏も、前例のない強烈な熱波が世界的に各所で発生し、ロサンゼルスで42℃、パキスタンで50℃、アルジェリアで51℃を記録した。台風22号はフィリピンと香港に上陸、100人近い死者と10億ドルの被害を出した。
2040年ごろには、2018年のような夏が当たり前になるだろう。ニューヨークでは「500年に一度」の洪水が、今後は25年に一度起きると推測される。極端な気候はますます加速し、昔は100年に一度ぐらいしか起こらなかった災害が、10~20年に一度の割合で発生するようになる。
水資源の不足が起こる?
水資源に関して、世界の人口の半分は高地の雪や氷が融けた水に頼っているが、温暖化によってそれも危うくなりつつある。
パリ協定の目標を達成できたとしても、ヒマラヤ山脈の氷河は2100年までに40パーセント、あるいはそれ以上消失する。氷河が融けてしまうと、ペルーやカリフォルニアでも水不足が拡大するだろう。
2020年には、2億5000万のアフリカ人が気候変動による水不足に直面する。2050年になるとアジアだけで10億人が水不足に陥り、さらに世界銀行の予測では、世界中の都市部で利用できる水がいまの3分の2まで落ちこむ。同年には、50億人が水資源を充分に活用できない状態に陥ると国連は予測する。
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