退屈な文章を「一生書き続ける人」に欠けた視点

なぜ仕事の文章も「面白い」必要があるのか

このコピーがつまらないのは、亀は動きが遅いという誰でも知っていることを、広告コピーっぽい体裁で言い換えているだけだからです。「発見」がまったく無いのです。

それでは、次のコピーを見てください。

●「世界最高齢の亀は、186歳」※2019年時点 
●「5月23日は、世界亀の日」
●「カメの性別は、卵の中にいた時の温度で決まる」
※参考:https://tenki.jp/suppl/rsakai/2019/05/23/29112.html#sub-title-b

どのコピーも、明らかに「マイペースで行きましょう」より面白くなっています。少なくとも読み手に「発見」を与えようとする姿勢があります。

ビジネスであれ何であれ、文章を書くときは読み手にとって「発見」があるよう意識することが大切です。話をカメの性別に戻すと、卵が28℃以下の場合はオス、28~29℃の場合はオス・メス半々、30℃以上の場合はメスになるそうです。

発見には2種類ある

「発見」というだけではわかりにくいので、より掘り下げましょう。「発見」は「主観的発見」と「客観的発見」の2つに分けられます。

「主観的発見」とは、人の気持ちの中にある発見です。僕の手がけたコピーを例として挙げます。

●「父が涙もろいことは、テレビが教えてくれた。」

スカパー! 2018年のコピー(画像:『言葉ダイエット』より)

●「集中には、きっかけがいる。」

FRISK 2018年のコピー(画像:『言葉ダイエット』より)

どちらのコピーも「言われてみれば、確かにそうだな」と読み手に共感してもらうことを狙っています。心のどこかで思っていることを言い当てる、ということですね。僕はこれを、ちょっと難しい言葉で「潜在的感情の顕在化」と呼んでいます。

「主観的発見」は、基本的に「経験」の中から探します。直接経験したことはもちろん、友達に聞いた話などでもいいでしょう。上記のコピーを見ればわかるように、特別な経験である必要はありません。むしろ、いつもの毎日のほんのささいな瞬間を、一歩踏み込んで考えることが大切です。

例えば「子どもの頃、一緒にテレビを見ていたとき、父はよく涙ぐんでいた」というエピソードであれば、誰でも心当たりがあると思います。そこを一歩踏み込んで考えて「一緒にテレビを見なかったら、泣いているお父さんなんて目にする機会無かったかもな。父が涙もろいことは、テレビが教えてくれた、とも言えるな……」と「発見」に育てていけばいいのです。

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