退屈な文章を「一生書き続ける人」に欠けた視点 なぜ仕事の文章も「面白い」必要があるのか
それでは、どうやって「主観的発見」で文章を面白くするのか? エントリーシートの「学生時代に頑張ったこと」を例に見てゆきましょう。
私は学生時代、海外でのボランティア活動に力を入れました。力仕事が多かったのですが、子ども達の笑顔に元気をもらいました。この経験を通して、私は人の役に立つ喜びを学びました。
いかにも就職活動らしい文章ですが、「発見」が無いので読み手は退屈です。次のように書き換えてみましょう。
私は学生時代、海外でのボランティア活動に力を入れました。力仕事が多かったのですが、子ども達の笑顔に元気をもらいました。考えてみたら、それまで子どもの笑顔を直に見る機会なんて、ありませんでした。子どもの笑顔にこんな力があるのかと、本当に驚きました。日本に帰ってから電車で泣いている子どもを見ても、イライラしなくなったほどです。卒業した後も、子ども達の役に立つ仕事をしたくなり、貴社を志望いたしました。
一見、ありきたりなエピソードにも、深く考えれば「発見」があることがおわかりいただけたと思います。
「発見」の有無で企画書の印象も変わる
企画書も「発見」があると無いとでは、印象がまったく変わります。例えば、次の文章を読んでみてください。広告会社がスニーカーメーカーに、販促キャンペーンを提案している企画書です。
御社のスニーカーは10代の若者がターゲットです。入学シーズンは繁忙期なので、需要増が見込めます。若者の生活に合わせたメディアでコミュニケーションをすることが大切です。
強いて言えば3文目が「発見」ですが、後はすべて「前提の共有」であり、読み手が知っている内容です。こんなスライドが2、3枚続いたら、すっかり飽きてしまいます。そこで、次のように書き換えます。
御社のスニーカーは10代の若者がターゲットです。入学シーズンは繁忙期なので、需要増が見込めます。しかし、若者たち本人にとっては、繁忙期なんて関係ありません。青春を謳歌するうえで必要だからスニーカーを買うだけです。コミュニケーションにおいても、若者のリアルな生活に合わせたメディアを選ぶことが大切です。
提案するメディアプランの内容が同じでも、その前のスライドに「発見」があれば、より「面白く」感じると思います。
「前提の共有」も大切ですが、それに終わらず、「発見」を入れるように意識してみてください。
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