ルネサス社長「力不足と思う点はたくさんある」 1年遅れの中計発表、柴田社長が目指すものは

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――かつて日本の半導体業界は世界を席巻しました。そういった時代はもう来ないのでしょうか。

日本の半導体がダメだとは全然思わない。日本の半導体なんて、昔のほうがよっぽどダメだったんじゃないって思っている。

柴田英利(しばた・ひでとし)/1972年生まれ。1995年東大卒、同年JR東海入社。メリルリンチ日本証券、産業革新機構(現INCJ)などを経て2013年ルネサスエレクトロニクスCFOに。2019年7月に同社社長就任(撮影:尾形文繁)

シェアが大きかっただけで損益はひどかった。そんな儲からない商売で、うちはグローバルシェアトップですって、全然サステイナブルじゃない。それよりもきちんと利益を出して、自力で、自分の食いぶちを取れるようにして、そこからどれだけ伸ばせるかということだ。

それにあたっては、携帯電話用のアプリケーションプロセッサーのような規模が大きくならないと成立しないビジネスはしんどい。スマホの年10億台と比べれば、自動車だって年間9000万台しか出荷されない市場だ。そういう規模のマーケットで、われわれはしっかりとしたポジションやシェアを積み上げていきたい。

小売業のようなことはできない

――柴田社長は半導体の技術者出身ではありません。業界内からは半導体がわからない人に半導体企業の経営はできない、という批判の声も聞こえてきます。

私は以前投資家だったので、もっと多様な業界や会社に触れてきた。その経験をもとに言うと、半導体は確かに難しい。半導体は1つ作るのに何カ月もかかるし、開発段階から数えると5年とかすぐに費やす。そうすると少しの間違いが将来すごく大きな間違いになる。これは小売業のように、昨日の仮説を今日試して、違ったら明日は変えようみたいなことができない。

半導体の経営は難しい。半導体のことを相当わかっていないと、難しいことがいっぱいあるよという意味だとすれば、それはそうだろうと思う。「そんなことない」というつもりはない。

高橋 玲央 東洋経済 記者

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たかはし れお / Reo Takahashi

名古屋市出身、新聞社勤務を経て2018年10月に東洋経済新報社入社。証券など金融業界を担当。半導体、電子部品、重工業などにも興味。

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