ルネサス社長「力不足と思う点はたくさんある」 1年遅れの中計発表、柴田社長が目指すものは
――最近はソニーがアメリカの家電見本市「CES」に自動車を持ち込みました。
自動車の産業はそんなに簡単なものではない。今、そこそこ立ち上がっているのはテスラくらいしかない。既存の顧客は大切にするし、ソニーにというわけではないけれども、業界のイノベーションを加速する新しいプレイヤーに対して、われわれはぜひ成長のお手伝いをしたいと考えている。
半導体企業の話をするとき、多くの人がインテルやクアルコム、エヌビディアを引き合いに出す。けれどもとても成功している会社で話題にのぼらない企業が1つある。それがテキサス・インスツルメンツ(TI)だ。われわれにとっての先生はむしろTIだ。私たちが目指している方向もまったく荒唐無稽なものではなくて、よくも悪くも先人がいるということ。まねするつもりはないけれども、先人が切り開いた道を広く安定したものにしていきたいという思いだ。
CFOとしての「責任は絶対ある」
――6月に呉文精・前社長が業績不振を理由に辞任しました。ただ、柴田社長自身も呉氏のもとでCFOを務めました。一定の責任はあったのではないでしょうか。
(CFOとしての)責任は絶対ある。だけど、会社全体がどのような方向を向いて進んでいくのか。それはトップが示したものによるところが大きい。その意味においてトップの責任は大きいと思う。
――ルネサスはかつて経営危機を経験し、今も官民ファンドのINCJから33%の出資を受けています。
6年前にルネサスに入社したときと比べて、財務状況はまったく違う。明日どうなるかを考えていたのに、今は(買収費用を除けば)1500億円のフリーキャッシュフローがある。まったく別の会社になった。だけど昔のルネサスが抱えていた課題に関しては、まだ変わらないな。力不足だなと思うところもたくさんある。
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