ルネサス社長「力不足と思う点はたくさんある」 1年遅れの中計発表、柴田社長が目指すものは
――売り上げの半分を占める車載関連では、とくにADAS(先進運転支援システム)やxEV(電動車)が競争の激しい分野です。
近年はインテル子会社のモービルアイやエヌビディアといった企業が話題にのぼることが多い。それは間違っていないが、こうした議論をするときにおさえておかないといけないことがある。
彼らは車載の中でもごく一部、SoC(システムオンチップ)というところだけに入ってきているということだ。でも、車載半導体はそれだけではなく、アナログ半導体やパワー半導体といったものを含めると市場はもっともっとずっと大きい。
自動車を走らせるためには、コンピュータに計算をさせるだけではなくて、たくさんのアナログ半導体やパワー半導体が必要だ。確かにわれわれもそれらの製品は弱かったのだが、そちらを強化することによって、デジタルのコンピュータだけでなくて、もう少し大きな機能のかたまりとして使いやすいものを提供していけるようになった。
1つひとつのチップの性能だけで戦うのではなくて、いろんな半導体を組み合わせることで、単位消費電力あたりの演算能力の向上や、より正確なデータの計測を実現していきたい。
商売の機会が広がる
――車載関連製品の売り方を変えるということですか。
例えばモービルアイはソリューション提案やアナログ半導体の販売なんてやっていないし、やる気もない。でも、われわれが売るときには、計算をするチップだけじゃなくて、ほかに必要なアナログ半導体も一緒に提案できるようにする。そうすることで商売の機会が広がるということだ。
――そういったさまざまな半導体を組み合わせる作業は、デンソーやボッシュなどの大手の部品メーカー(ティア1)が担うのでは。
デンソーなどの伝統あるお客さんも、何でもかんでも投資ができるわけではない。いちばん差別化できるところに投資したいはずだ。競争力にあまり関係ない部分にはほかに任せたいだろう。また、中国に代表されるような新しい市場参入者に対しても、彼らは長年の技術の蓄積はないので、できる限り早く完成品を作るために、ある程度かたまりのシステムを持ってきてくれというニーズは高まっている。
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