ルネサス社長「力不足と思う点はたくさんある」 1年遅れの中計発表、柴田社長が目指すものは

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――力不足だと感じるのは具体的にどういった面でしょうか。

とにかく仕事を小さく小さく切り分けてしまう。すると個別最適の積み重ねになってしまって全体最適にならない。全体として最適ではないものを作ってしまうリスクは依然高いし、仕事を小分けして大勢でやってしまうと、責任意識がすごく希薄になる。そうすると結果に対する執着心が薄くなってしまってやる気のある人とそうでない人の差が出やすい組織だと思う。そこは残念ながらまだ力不足であまり目を見張る変化を引き起こせていない。

変化せざるをえない状況に置かれた会社

――それを変えるために取り組んでいることは。

3つある。1つ目はとくに車載以外のところが中心になっているが、買収を通じてシリコンバレーの人を大量に受け入れた。全然違うマインドの、日本の大企業出身者ではない人が上司だけではなく相当多くいるので、いい意味での文化の衝突が起きている。

2つ目は、ボーナスや株式のインセンティブ、人事評価を通じてどういう行動を取ってほしいのか、何をすれば評価されるのかをはっきりさせている。

そして3つ目は、私が始めたことだが、従業員とコミュニケーションを取っている。今回の中期計画の話も、ルネサス始まって以来だと思うが、全従業員に細かく説明している。

――一方で、昔のルネサスらしさがなくなってどんどん外資の会社みたいになっていくという人もいます。

仕方がないと思う。やはり変化はみんなが嫌う。私だって変わらないでやっていけたら変化なんて導入したくないし、面倒くさい。だけど変化せざるをえないという状況に置かれた会社だったので、それをやっただけだ。

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