「Dr.コッパー」は「コロナ暴落」を予言していた 新型肺炎による市場の異変は「察知」できた

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米アップルが1~3月期の業績未達を早々にアナウンスしたことからもわかる通り、中国の経済活動が大幅に停滞すれば、グローバル経済に悪影響を与えるのは必至なのだから、こうしたなかで株価が下落するのは当然であろう。今回は生産設備が破壊されていないため、新型コロナウイルスが終息しさえすれば、すぐに生産が再開できるという点において影響は軽微といえるが、それでも目下の世界経済が強い逆風に晒されていることは間違いない。実際、日本を含む先進国の経済活動は、中国ほどではないにせよ、強い下押し圧力に晒されている。

ところで、2月19日(日本時間では20日)が何の日だったか、思い出せる方はどれだけいるだろうか。それはS&P500が最後に過去最高値を更新した日である。2月19~20日といえば、その頃すでに中国を中心とするアジア圏で感染者数が増加の一途を辿り、世界各国の報道で新型コロナウイルスが連日トップで伝えられていた時期だ。

おそらく多くの投資家の頭の中に「欧米への感染拡大は時間の問題かもしれない」との覚悟があったとみられる。しかしながら、その日の米株式市場では、相変わらず「影響は限定的かつ一時的」との楽観論が優勢で買いの勢いは衰えていなかった。今思うと、2月19日までの米株式市場がいかに楽観的な空気に包まれていたのかがよく分かる。

米株急落の理由の全てが、新型コロナではない

グラフは米製造業サーベイとS&P500を比較したものだ。

横軸は2月の日付を表す。急落前の株価が製造業の重要指標といかに乖離していたかがわかる

これを見れば明らかなとおり、急落以前のアメリカ株がマクロファンダメンタルズでは説明のつかない水準に上昇していたことがわかる。 2月19日は、すでに中国の経済活動は停止状態にあり、中国の消費急減速とサプライチェーン混乱が確実視されていた時期である。

結局、その後の1週間の大幅下落を経て株価はマクロファンダメンタルズ見合いの水準に近づくのだが、こうして考えると急落前のアメリカ株がいかに過熱気味であったがわかる。

今回のアメリカ株急落に新型コロナウイルスの感染拡大懸念があるのは言うまでなく、それを否定するつもりは毛頭ない。ただし、株価急落の要因を、全て新型コロナウイルスに求めるのに違和感があるのも事実だ。バブル的領域に達していたアメリカ株の急落は、新型コロナウイルス発生の有無にかかわらず、起こるべくして起こったと言えなくもないだろう。

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