なぜ大企業の介護保険料が4月から上がるのか 加入者割から総報酬割へ移行する意味

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介護保険料の負担の仕方が、所得比例の形に順次変更されている(写真:CORA/Pixta)

少子高齢化や人口減少を受けて、社会保障制度への関心は高まっている。今回は、その理解を深めるために、実際に社会保障制度の設計をしてみよう!

いま、あなたが、社会保障制度の給付総額の約9割を占める社会保険制度の中で、年金保険、医療保険と並んで重要な公的保険である介護保険を設計する立場にあるとしましょうか。財源は、社会保険料から得られるとします。この社会保険料に関して、あなたは、次の図にある、①、②の方式のうち、どちらが望ましいと思いますか?

少し説明をすると、①は介護保険に加入している人の所得が高くなると、所得に占める保険料の割合、すなわち保険料率が低下していく制度になります。たとえば、介護保険の給付総額をMとすると、所得に関係なく、加入者の総数N人で割った場合は、保険料率が、低所得者層で高く、高所得者層で低い①の図のようになります。

②は加入者の所得と関わりなく、保険料率が一定のαになる制度設計となります。この場合の保険料率は、加入者の所得yを全部足した総報酬Yで介護保険の給付総額Mを割ったM/Y=αになります。そして加入者一人一人が支払う保険料はα×yになりますから、所得にかかわらず保険料率は一定ですけど、所得が高い人ほど保険料額が高くなります。

あなたはどちらを選択しますか?

さて、政策立案をするあなたなら、社会保障の一環としての介護保険の制度設計として、①、②のいずれを選択しますか?

普通は、②の方式を選択されるのではないでしょうか。だって、民間の保険と違って、「応能負担、ニーズ給付」が原則の社会保険ですからねぇ。今の社会保障改革のシナリオが描かれたと評されている2013年の『社会保障制度改革国民会議』の報告書には、医療・介護の箇所に「保険料の負担についても、負担能力に応じて応分の負担を求めることを通じて保険料負担の格差是正に取り組むべきである」と書かれています。ここで皆さんは「えっ?」と思ったのではないでしょうか。「保険料負担の格差是正」の格差って何だろうか。

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