なぜ大企業の介護保険料が4月から上がるのか

加入者割から総報酬割へ移行する意味

でも、普通に考えると、社会保険制度の財源調達は、はじめから②の総報酬割のほうが妥当であるように思えるのに、どうして加入者割から始まっていたのでしょうか?

ここが、前回の記事「子どものころ教わらなかった大人の世界の民主主義」と関わってくるところでして、この記事で使った、次の図を見てください。

所得の高い大企業が、第2象限の立場から、自分たちの保険料負担が大幅に増えない加入者割ならば許す、という政策形成過程があったからだとういことになります。だいたいいつもそんなもんです。健保組合全体の中には、所得の高い大企業も、そうでない企業もあるわけですけど、やっぱり所得の高い大企業が力を持っているようなんですね。

2008年4月に後期高齢者医療制度は加入者割で始まったのですが、2018年度から総報酬割に変わりました――その間、『社会保障制度改革国民会議』のような、後期高齢者医療制度に総報酬割を求める強力なアシストが必要でした。

2000年4月に加入者割ではじまった介護保険は、2020年度、つまり今年の4月から、完全に総報酬割になります。僕たちからみれば、介護保険の保険料格差を解消するのに20年かかったということになります――2017年介護保険改革を実現した人たちによくがんばったと言いたい(『ちょっと気になる医療と介護 増補版』351ページ参照)。最初の図「社会保険でありうる2つの保険料率設定方法」の①を反時計回りに回転させて、②にしてくれたわけですから。

疲れるメディアの報道

この文章を書いてみようかと思ったのは、ある新聞の「介護保険料、4月大幅上げ――大企業、年1万円超の負担増続出 給付の抑制急務に」という記事を見たからです。普通の人たちがこの見出しをみたら、かつての年金不信を煽った報道のときと同じように、介護保険に不信感を抱く人が増えるだろうなぁと思いました。

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